37 敗北〈ﾎﾟﾙｺside〉 ページ35
「ポルコ？…Aはどうした？」
完全敗北で外に出ると、兵舎の門で待っていたライナーが俺の纏う空気を察して躊躇いがちに訊ねた。
マーレ兵が周りにいる時と違い、子供の頃からの呼び方で呼ばれて、思わず弱音を吐きそうになる。
「Aは…もう…戻らねぇ…」
「…？…」
意味が分からないと、俺の言葉の先を促すために、ライナーは無言のままだった。
昔から変わらない相手を労る優しい眼差しに、苦渋の選択を強いられた悔しさと、力量不足の自分へ憤りが押し寄せる。
「…遅かったんだ…」
「ん…？」
「俺達が戦場でもたついてる間に、Aは…ッ…」
遅かった。
その一言に尽きる。
中東連合との戦いに終止符を打つのに４年も費やした結果、Aの精神は追い込まれ、壊れちまった。
Aの身に何が起こったのかさえ、訊くことも知ることも許されなかった。
「Aは、ハーマー文官長と一緒にいる。逢って話すためには、マガト隊長と奴の許可が必要だ」
「ハーマー文官長…だと…？」
ライナーが驚くのも無理はない。
全くの想定外だった。
まさか、軍の高官がAに接触していて、しかも…
「どういう経緯かは知らねぇが、どうやらAは、ハーマー文官長に見初められちまったらしい」
「それは…文官長がAを好きだということか？」
「そうだ。それに、Aも…」
「ありえない…」
そうだ、ありえない。
マーレ人とエルディア人の恋愛など…成立するはずがない。
俺達が居ない４年の間に一体何があったってんだ！？
Aは４年前とは全くの別人になっていた。
ハーマー文官長は「これでも回復した方だ」と言っていたが…
あれ以上の酷い状態…
本来の明朗快活で笑顔の絶えない可憐な雰囲気のAが消えて無くなるほど、恐ろしい仕打ちを受けていたと…
そう解釈するべきだ。
精神が壊れて弱ってるところに駆けつけた奴なんて、Aにとってみれば、王子様のようにかっこいい救世主。
頼って縋るのは必然だよな。
戦士としての任務とはいえ、Aから離れたのは俺の方で、
助けを求めても応えない俺より、応えてくれる身近な奴の方が頼りになるのは明白だ。
「…諦めるのか…？」
ぐうの音もでない俯く俺に、ライナーが発破をかけてくる。
諦め…られる訳がねぇ！
「…な訳ねぇ…お前だってそうだろ？」
「あぁ…だが、どうする…相手は軍の高官だ」
今の俺達に打開策は何もない。
Aを説き伏せるしか方法は…
「まずは、Aの笑顔を取り戻す」
それが出来なきゃ、完全に俺達の負けだ。
*
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夢梨(プロフ) - sato711825さん» コメントありがとうございます！意外とポルコ推しさんがいてくれてほっとしています。場面が思いついたら更新していますので、お付き合いいただけると嬉しいです(*´∀`)♪ (2021年4月22日 16時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
sato711825(プロフ) - 続きが見たいでえええす！！！！ポルコ推しなので私得ですっ！ (2021年4月21日 1時) (レス) id: 2b67c28291 (このIDを非表示/違反報告)
夢梨(プロフ) - Ronnyさん» コメントありがとうございます！ライナー好きさんがいてくれて安堵しました(*´ω｀*)頭の中に浮かんでいる言葉や場面をまとめるのに時間がかかりますし、期待に応えられるか自信もありませんが、何とか読者様が没入できるお話を書きたいと思います(*^^*)♪ (2021年4月11日 15時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
Ronny(プロフ) - あああああああどうなるんだ!!!!ポルコもライナーも好きだからつらいw次の更新も楽しみに待ってます! (2021年4月10日 23時) (レス) id: d499d51969 (このIDを非表示/違反報告)
mitsuyuu0907(プロフ) - 夢梨さん» お返事ありがとうございます。そうです。ポルコ落ちのお話を作っていただきたいです！本当にポルコの夢小説少なくてポルコ不足なんですよね_(´-`_ _)_よろしくお願いします！ (2021年4月5日 21時) (レス) id: a8ac705c71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢梨 | 作成日時：2021年1月16日 19時
