いのありのベイビーチョコラータ

野生児みたいな・・ ページ11

「いのちゃんいつもぼーっとしてっからな(笑)ほら、こっちは俺が拭くからタオルかして」


「あ・・ごめんね・・」



床を拭く大ちゃんを眺めて、ふ・・と視線を上に戻したら大崎さんとバシッと目が合って
そしたら大崎さんが僕を見ながらクスって笑ってたんだ・・なんだろ・・なんか・・僕のヤキモチを見透かされたような気がして顔が赤くなるのが自分でもわかった


「あれ?いのちゃん、指・・血が出てんじゃん?」



床を拭き終わった大ちゃんが僕の指を見て声を上げた



「ん?あ・・・・ほんとだ・・・あれ?どこで切ったんだろ?・・」


「あ〜・・コップちょっとだけ欠けてっからそこで切ったんだな・・ん」



ほんの少しの血の塊がプクッて玉みたいに膨れて、たらりと流れる直前に大ちゃんがパクって僕の指を口に入れた



「あっ大ちゃんだめだよっ」



手を引こうとしたけど結構強い力で僕の手を掴んでいた大ちゃんはちゅぅぅぅぅって僕の指を吸って、それからちゅばって口から出したら不思議と血は止まっていた


「うえ〰鉄の味する〰」


「あはっ・・なんか・・・大ちゃん凄い(笑)野生児みたいだし・はははっ」


心臓の音が外まで聞こえてないか不安になるくらいどきどきして、僕の顔は真っ赤で・・ちらっと大崎さん見たらまたクスって笑ってた


「伊野尾君大丈夫?怪我させちゃご両親に申し訳が立たないよ」


おばさんが菜箸持ったまま泣きそうな顔してて、僕は慌てて全然平気だと指をひらひらして見せる


「傷よりも大貴が舐めてバカがうつんなきゃいいけど」



おばさん・・真面目な顔してひどいこと言ってるよ(笑)



「ちょっ・・も・・・ひっでぇなかーちゃん、おれだっていのちゃんに勝ってる科目くらいあっから」



「あんたが伊野尾君に勝つのなんてあるわけないでしょ?」



「た・・体育は勝ってっから」



「はいはい・・体育だけね、もう食べ終わったらお皿かたして先にお風呂入んなさいよ!二階に上がっちゃうとまた遊んでるうちに寝ちゃうんだからね」



「え〜今食ったばっかなのにぃ」



ブーブー言いながらも大ちゃんは後のお楽しみがあるからか、素直にお風呂に入りに行く


「いのちゃんは?」



「えっ?・・・ぼ・・・ぼく?」



「あ、そうね、もう二人で入っちゃいなさいよ」



「や・・あの・・・」



「なんだよっ何照れてんだよ(笑)今までしょっちゅう入ってたじゃん」



「や・・そだけど・・・いや・・」

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