トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ30)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:40,766 hit

トリップ74日目ページ30

～Aside～

「ところで、ヘリを道路に停めさせたがまずかったかね？何しろヘリポートの無い会社を訪ねるのが初めてでね」

うわぁっ。うざ！！←

ついつい顔が歪みそうになる。こいつは素で言ってるのか嫌みで言ってるのか、私の癪に障る事をさらりと言う

怒りの沸点がすぐそばまで迫る私とは裏腹に、社長は淡々と告げる

福沢「外国(とつくに)の方が遠路遥々ご足労でしたな。して用件は」

ナオミちゃんが運んできたティーカップをみて、金髪男は珍しそうに言った

「ほう。珍しいデザインだ。陶磁器は詳しいつもりだったが。どこのブランドかな？ロイヤル・フラン？あるいはエル・ゼルガか」

ナオミちゃんはつれない素振りで「隣の下村陶器店です」と言った

ナオミちゃんもこいつが中々に気に入らないと察した私は、ナオミちゃんの側へ駆け寄り、耳打ちした

A「こいつ何なの？誰？うざい」

ナオミ「恐らく組合(ギルド)の団長さんかと」

私の返答に小声で返したナオミちゃんも、男が気に食わないようで、嫌そうに立っていた

フィッツ「フィッツジェラルドだ。北米本国で『組合』という寄合を束ねている」

そのフィッツなんとかっていう男は、他にも要らぬ自慢をべらべら語りだした。挙げ句の果てには「この会社を買いたい」と大金を差しだした

然し男は、「勘違いするな」といきなり上からものを言ってきた

「俺はここから見える土地と会社すべてを買うこともできる。この社屋にも社員にも興味はない。あるのは一つ」

福沢「＿＿真逆」

覚った社長ににたりと微笑み、男は頷いた

「そうだ。『異能開業許可証』をよこせ」

こいつ嫌みで上からとか最悪かよ。

どんどん男への印象と私の機嫌が悪くなっていく

男曰く、異能者の団体が合法的に開業できる許可証が、その『異能なんとか証』らしい。金で買えなかったそれが欲しいとねだるが……社長は即答した

福沢「断る」

男は金が足りないと勘違いしたのか、腕時計も付けるからなどと言い出したが、社長は矢張り意見を変えない

福沢「命が金で買えぬように許可証に替え得る物など存在せぬ。あれは社の魂だ。特務課の期待、許可発行に尽力して頂いた夏目先生の想いが込められている。

頭に札束の詰まった成金が易々と触れて良い代物では無い」

おぉ良く言った！福沢社長！！私は心で社長を称賛した

その″夏目先生″って多分『夏目漱石』だよね……

一体、どんな人なんだろうか