トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ22)

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トリップ66日目：彼女ノ存在ハ此ノ世ニハ無ゐページ22

～太宰side～

私は考えていた。彼女の存在について

太宰『一番は敦君についてだ。それと、Aちゃんについて』

太宰『あぁそうそう、もうひとつ

田中A。彼女の情報を教えて。生年月日、生まれ故郷、何でも良い。彼女に関することはどんなことでも』

中也『……そういや云ってたな。その件なら答えられねぇ』

太宰『へぇ、どうして？』

中也『簡単なこった。何もねぇからだ』

先程中也と交わした会話を思い浮かべ、うーんと唸る

太宰(私も調べたのに出てこなかった……中也の言うとおり彼女に後ろ楯がいる可能性も考えたが……情報を抹消出来るほどの能力者がいるなら、特務課に情報がいっている筈……)

とすると、やはり彼女は『存在しなかった』という事になるのだろうけど……

そうなら疑問は2つある

1つは何故今までは存在しなかった存在が、今姿を表したのか

そしてもう1つは、どうやって彼女の存在を……そして異能力を作り上げたのか

太宰(……まぁ、今考えるべきはそれじゃないな)

思考を切り替え、Aちゃんに提案をする

太宰「Aちゃん＿＿＿＿…」

＊＊＊＊

～No.side～

敦と芥川が死闘を繰り広げる中、全く別の場所では、賑やかな茶会が開かれていた

「団長様！虎は結局直接取りに行く形でいいのかしら」

金髪の長い髪を揺らし、アメジストの様な紫色の瞳を輝かせ、少女は団長と呼ぶ男の元へ駆け寄った

「あぁ。それから、武装探偵社…だったかな？そこにも行く。俺の求めるものが其処にある」

金髪の少女は手を顎に寄せ、あからさまに考える素振りをする

「何だっけ。異能ギョーカイ何とか書……ギョーザ書……じゃなくて……」

中々名前を思い出せずに唸り続ける彼女にしびれを切らしたのか、団長は一言言い切る

「″異能開業許可証″だ」

少女はその書の名を聞き、団長を指差し『That's it！』と明るく声を上げた

「君は優秀な人材だ。此処で君の価値を失うわけにはいかない。ある程度の行動は許可するが、出来るだけ探偵社員との接触は控えてくれ」

少女は聞いているのかいないのか、んーと曖昧な返事を返す

「私は団長の欲しがる『本』に興味はないもん。首を突っ込んだりはしないわ」

だから大丈夫！と微笑む少女に、団長は微妙な心情を抱えていた

「(君は興味の無い事程余計な事を無自覚でするからな…)まぁいい。約定の地を頂くのは、我ら組合(ギルド)だ」

魔の手はすぐそこまで迫っている