トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ21)

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トリップ65日目ページ21

～Aside～

中也「云っておくがな太宰。これで終わると思うなよ。二度目はねぇぞ」

太宰さんを指差し、(階段の上に登って)私達を見下ろす中原中也に、″違う違う″と声をかける太宰さん

中也「二度目はなくってよ！」

と、内股のお嬢様口調の捨て台詞を吐いた彼に、太宰さんと私はお腹を抱えて大笑いしていた

太宰「あぁそうそう、もうひとつ」

と、中原中也に近寄り、何かを耳打つ

中也「……そういや云ってたな。その件なら答えられねぇ」

太宰さんは眉を潜めて″へぇ、どうして？″と尋ねた。会話の内容が分からない以上、話に便乗出来ないのは、詰まらないものだ

中也「簡単なこった。何もねぇ(・・・・)からだ。何一つない。戸籍も経歴も身内も、何一つ存在しないからだ。相当腕利きの奴が抹消してるんだろうな」

手を広げやれやれと諦め顔を見せる中原中也に、太宰さんは真剣な顔で″違うね″と言った

太宰「私が調べても出てこなかったんだ。もしかしたらと思って来てみたけど……やっぱりマフィアにもなかったんだね……

そうなるともうそれは初めから存在しない(・・・・・・・・・)からだろう」

中原中也は鼻で笑い、あり得ねぇなと否定した

中也「幾ら情報がないからってそれはないぜ。異能特務課にもないなんてあり得ねぇよ。遠隔の異能者がいるとかだろ」

太宰さんは黙り混み、″まぁそういうことにしておこう″と妥協した

太宰「さて、Aちゃん。二階へ行こうか」

A「え、私もですか？」

てっきり太宰さんが一人で行くものかと思っていた。私は別に敦君欲しがってる人が知りたい訳じゃないし

否定的な私に、″それはお薦めしないな″と反論してくる。太宰さんが折れないなんて珍しい

太宰「だってAちゃん、マフィアのビルの構造何て知らないでしょう？次捕まっちゃったら、どうなるか分からないよ？」

太宰さんの一言にサッと血の気が引くのを感じた。困る、あの首領の処へまた行くのは嫌だ

私は行きますと即答した

＊＊＊

私は太宰さんから貸して貰ったマスクとサングラスをかけ、太宰さんの後ろに付き廊下を歩く

太宰さんは自然と″やぁご無沙汰！″なんて声をかけて、立派に構成員になりきっている

何故か太宰さんは持っているカードで部屋を開けた

部屋をぐちゃぐちゃに散らかし、資料を漁る

太宰(何処の誰かな？)

手に取った一冊の資料本に書いてあった組織名

A「″＿＿＿″？」