トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ2)

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トリップ46日目ページ2

～No.side～

魔都ヨコハマ＿＿＿

西口五番街の中、和装の少女は立っていた

人形の様に可憐で、置物のように動かなかった

だが彼女も人間で、決して動けぬわけではない

彼女はある二人の男女を目にいれると、歩き出した

そして男女の服の裾をパシッと強く掴み……

太宰「＿＿え？私？」

「……見付けた」

と呟くと、彼女の背後から何かが現れた。

それは美しくもあり＿＿狂気的でもあった

太宰「………これはまずい」

＿＿＿＿……その数時間後、早朝の探偵社

国木田「太宰が行方不明ぃ？」

敦「電話も繋がりませんし、下宿にも戻っていないようで……」

突如いなくなった太宰の行方について、敦が社員全員に聞き回っていた

国木田「また川だろ」

「また土中では？」

乱歩「また拘置所でしょ」

慌てる敦とは裏腹に、自殺へ向かう太宰に慣れている社員達はそこまで心配してないようだ

敦「しかし先日の一件もありますし………真逆マフィアに暗殺されたとか………」

物騒な心配をする敦に、国木田はバサリと言い切る

国木田「阿保か。あの男の危機察知能力と生命力は悪夢の域だ。あれだけ自殺未遂を重ねてまだ一度も死んでない奴だぞ。

己自信を殺せん奴をマフィア如きが殺せるものか」

でも……と未だ不安そうな顔をする敦に、後方から声がかかる

「ボクが調べておくよ」

国木田が席を立ち、皆が声の方を振り向くと……

敦「谷崎さん！無事でしたか！」

芥川の羅生門で腹を深く刺された谷崎が、戻ってきたのだ

国木田「与謝野先生の治療の賜物だな」

″お陰さまで″というかの様に頭を小さく下げる

ところで……と国木田は話を変える

国木田「谷崎、何度解体された」

その一文で、先ほどまで元気だった谷崎の顔が真っ青に染まっていく

谷崎「………四回」

口にしたくもない程に悲しげな顔をして、がっくりと肩を下げる。谷崎の四回という謎の回数に″あー…″と哀れみの声を上げる者もいれば、何のことか全く分からず、頭に疑問符を浮かべている者(といっても敦のみだが)もいる

遂に谷崎は頭を抱え、しゃがみこんでしまった

そして目に涙を浮かべ、ガタガタと大きく震えながら敦へ語りかける

谷崎「敦君。探偵社で怪我だけは絶ッ対しちゃダメだよ」

先ほどまで震えていた谷崎が、あ。と何かを思い出したように声を発する

谷崎「そういえば、Aさんが出勤してなかッたンですけど、どうしたんですか？」