おまけ２ ページ46
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「けいちゃーん！うさぎの けいちゃーん！」
とてつもなく広い原っぱを 西へ東へと 駆け回り、
「アニキが、ライオンの りょうすけが大変なんだよー！！」
北へ南へと 叫び回っていると、
『、りょうすけさんっ！？』
草むらから跳び出てきた 真っ白な うさぎ。
「うさちゃん！！」
それは まぎれもなく、アニキの愛しの うさちゃんで、
「アニキが大変なんだ！行こう！」
俺は うさちゃんの手を掴んだが、
ぱちん
「ふざけるな！あのライオンのところになんか行かせるか！」
後ろから駆けてきた 茶色いうさぎに 手をはたかれ
「けい！帰るぞ！」
うさちゃんは 連れて行かれてしまった。
「ちょっと待ってよ父ちゃん。アニキが死んじゃいそうなんだよ！」
「フン！あんなライオン、いなくなった方が清々するわ！」
『、』
父ちゃんの言葉に ぎゅ、と くちびるを噛みしめた うさちゃん。
瞳には次第に 涙が溜まっていき、
ぽろり
あっという間に、大粒の涙が うさちゃんの瞳から こぼれ落ちた。
「、」
それは まちがいなく、うさちゃんもアニキが大好きだという しるしで、
「この、クソ親父――！！」
ボコッ
俺は 父ちゃんに、渾身のチョップを お見舞いしてやった。
「ぐぁ…きさま」
「アニキはなぁ、うさちゃんのことが大好きなんだよぉ！！たしかにアニキは、すぐ うさちゃんのこと巣に連れて帰ろうとするけど、日が沈む前には うさちゃんを帰してあげるし、栗拾いとか、もみじ狩りとか、うさちゃんと出かける前には 必ず下見するんだよ！うさちゃんを襲うような動物が 周りに住んでないか、ちゃんと安全か、って！それになぁ、アニキからしたら 俺なんてエサなんだよ。エサ！なのにアニキ、うさちゃんのために 俺に頭下げたんだぞ！「俺の好きな子が みつばが大好きだから、みつばのある場所が知りたい」って！考えられるか？あとなぁ、アニキの爪！！アニキ、うさちゃんを傷つけないようにって、爪 全部切ってんだよ！そんなことしたら、狩りなんて出来ないのに！！自分のことよりも、うさちゃんを一番に考えてるんだよ！！
そんなことも知らないのに、アニキを悪者扱いするんじゃねーよ。ば――か！！」
その後、アニキと うさちゃんが どうなったかは知らない。
でも アニキは ちゃんと巣に帰ったみたい。
あー、よかった。
fin
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作者名：本田
| 作成日時：2019年10月13日 21時
