EPISODE 14 ページ17
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…俺はもうレイ達と仲良く脱獄なんてできないんだな。逆に、敵側に回るなんて…
心ではずっとぐるぐる回っているのに、頭はいつでも冷静だった。
「…あなたが俺を出荷しないという証拠は?情報を提供してたのに出荷されるなんて嫌だよ、俺」
「そうねぇ…」
「あ、じゃあもし出荷されるってなったら俺ここの家燃やすから。みんな、燃やす」
これくらい言わないと彼女は納得しないと思った。勿論そんなことをする勇気は持ち合わせていない。イザベラは、困ったように眉をひそめた。
「…いいわ。でも、それに見合うだけの仕事をしてちょうだい」
「…もちろん。そのつもりだよ」
イザベラは、「それじゃあ、もう行くわね」と物音一つ立てずに部屋を出ていった。
時計の針が動く音だけが部屋に響いている。目から1粒涙が零れた。
…なんの為に生まれ変わったのだろう。
3人の為に力を尽くして手助けをしたいと考えていたのに、逆に敵側に回るなんて誰が想像したことだろうか。貴方たちから生きる勇気、喜びを貰ったのに。恩を仇で返すなんて。
俺には何もすることが出来ない…
「ん、出来ない…?」
もし、彼らがこの立場ならどうしているのたろうか。エマなら、脱獄を失敗させようなんて考えないだろう。絶望から何度も立ち上がってきた彼らなら。
「俺は…?」
俺はこのまま諦めてしまうのだろうか。しょうがないなんて言って彼等を見捨てるのか。
その瞬間、ハウスのみんなの笑顔を思い出した。
この世界のことを知らない、無邪気で、可愛らしい笑顔。
「…待ってて。必ず助けに行くから」
俺は目に溜まった涙をゴシゴシこすり、無理矢理口角を上げた。
…
ーAがこの部屋に来る数日前ー
「Aって凄いよねー!」
遠くを眺めるAを見つめて9歳くらいの少女がいった。その目には憧れの色が映っている。
「だよね、僕達とは頭の出来が違うんだよ」
「…どんな時も冷静で、何事にも全力で取り組む努力の天才のA…」
ソフィの呟きにみんながうんうんと頷いた。
彼は小さい時から、何事も人一倍頑張ってきた。
ずっと、ずっと、ずーっと、独りで。
そのおかげで彼はハウスで断トツの頭脳、運動神経を得ることが出来た。
「ほんと…凄いよ…A…」
ソフィがAをみて呟く。自分の後ろでそんな話をしていたのを、Aは知らない。
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Rabbit book(プロフ) - 公務員さん» ありがとうございます!嬉しいです(*´-`*)更新頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします!! (2019年8月10日 18時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
公務員 - あ、、、、続きが気になって仕方がない、、、、、!更新楽しみにしてます!! (2019年8月8日 12時) (レス) id: 567cb90382 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit book(プロフ) - 花風雪さん» ソフィは、、、、どうなってしまったのでしょうか……続きをお楽しみにしててください!笑 (2019年6月17日 16時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
花風雪(プロフ) - (´・Д・)ぽかーん、ソフィィィィ! (2019年6月16日 19時) (レス) id: e781858e49 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit book(プロフ) - はるせさん» そうです、やばいんですよ!!(笑)更新頑張っていきますので応援よろしくお願いします! (2019年5月13日 19時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ま る | 作成日時:2019年4月3日 14時