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その日の帰り、急遽任務が入った。
2級呪霊の討伐の任務が1級術師の私に回ってきたのは先に任務へ向かった2級術師がしくじったかららしい。よくある話だ。
ところがいざ現地に行ってみれば、1級呪霊が1体いた。
辺りを見ると複数の呪霊の残穢があるから、先に来た2級術師は2級以下の呪霊を祓っている時に、背後から1級呪霊に襲われたのだろう、と推測する。
1級術師は1級呪霊に勝てて当たり前。だから問題ないと考え、構える。
でも今日はなぜか上手く呪力が練れない。
そのせいでこちらの攻撃があまり効いていない。
「っは、ちょっときついな」
私が思わずそう呟くと呪霊がニヒ、と気味悪く笑うのを感じる。
一旦、呪霊から距離をとり、息を整える。
もう一度、術式を発動しかけたその時、呪霊から攻撃がくるのが見えた。
咄嗟に右に避けた、つもりだった。
一瞬何が起こったか分からなかった。
左を見て避けきれていなかったことに気付く。
その後痛みが遅れてきた。
ずきずきと痛みを感じるのは肘の辺りまで。そこから先は何も感じなかった。
辛うじて繋がっている程度。
一撃でこのレベルならもうダメかもな。
いや、でもまだだ。まだ諦めてはいけない。
私の術式は片手が無事なら使える。
もう一度呪霊に向き直り、構える。
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作者名:穂波 | 作成日時:2021年11月20日 22時