４の世界【綺麗な事も】 ページ34
ざぁぁぁとブーゲンビリアと茸だった灰の塊が舞い、空気の中へと溶けて消えていった。
――まるで泡沫の夢だったように辺りには静寂が満ち、歪みくねったと思えば何もないただの朽ちた部屋へと切り替わった。
「…フランスくん、此所は教会みたいだね」
「…みたいだなロシア」
半分割れたステンドグラスは確かに、教会らしい絵柄をしているように見える。
床は苔むしてぼろぼろで、人の手が入らないまま大分時が経ったと一目で解るほどの有り様であった。
壊れかけた壁の向こうに景色が広がっているようなので、ロシアとフランスを連れて様子を確認してみた。
「何もない、みたいだね。安全だとは思うけど私から離れないようにね、二人とも」
「わ、わあああ！綺麗だよ！A！お空とか綺麗だよ！」
「本当だな！すんげー綺麗じゃん！」
言った側から走って離れていく二人。私はちょっと呆れながら綺麗綺麗と騒ぐ二人の元へと向かった。
「確かに綺麗だね」
「そうでしょう？いっぱいお花もあるし、ひまわりもあるよ！」
見事なお花畑に座り込むロシアは、少し先にある深い谷と滝に明るく晴れた空を見つめた。
「僕んちになーれ、僕んちになーれ」
「止めてロシア！呪詛を吐かないで！と、友達でしょう！？」
「うん、そうだよ？(未来のロシア領)フランスくん♪」
「せめてその黒い笑顔は隠して欲しかったなぁ」
二人の漫才を見つつ、綺麗な風景を確認してみた。トラウマ…ではなさそうだ。
愛国心が強い人間の精神の部屋という本があったのだけど、確かそれには【その風景はまるで彼の中の故郷を現しているようだった】なんてあったなぁ。
深い谷に綺麗な滝に空と沢山の薔薇やひまわり等の花畑…フランスは自分の家の芸術性等を誇りに思っているのだろう。
「…嫌な気配がかなり強くなってきてるから、私の側から離れないでね。遠いと咄嗟にバリアーを張れないから」
「僕はAから離れないよー！あ、蝶々だ」
早速離れそうなロシアちゃんのおててを掴んでおいた。子供か君は。
沢山の蝶々が青い空を泳いでいるのを観察する。
黒と白の２色の蝶々が空の彼方へと飛んで行く――
ロシアもちは目を細めて呟いた。
「蝶々は人の魂が宿っていると思われてたんだよ。大切な人達も輪廻転生して、こういう綺麗な景色を見ているんだろうね。僕はそう信じてる」
「あら素敵。なら、俺もそう思ってたのかな」
「心の奥底で思っていたのかもね。だからこの風景を見れたのかも」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヴァーニャ(プロフ) - kちゃんさん» 愛とは怖いものですね(笑)ちなみに桜はうんと昔は不吉なものと思われていたとかなんとか…桜がある場所って、墓とかが多くありませんか？それが元ネタだったりします (2017年7月31日 0時) (
レス) id: ed671a183d (このIDを非表示/違反報告)
kちゃん - うへえ…沢山埋まってるのか…美への執着心(？)こわい…主人公ちゃんに見せたいがために… 桜だけじゃなくて例のカカオも怖いですけどね！w きっと鉄分たっぷりの美味しいカカオ… (2017年7月30日 11時) (レス) id: bad6cea424 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - kちゃんさん» ええ、特別製のイチゴシロップだったんですよ。ロシアさんのと調理法方がちょっとだけ違うイチゴシロップだったんですよ。果肉が粗めの。多分きっと。ちなみに沢山埋めていたとか… (2017年7月30日 1時) (レス) id: ed671a183d (このIDを非表示/違反報告)
kちゃん - 既に何か埋めている…だと…！？なんて物騒な…物騒かな？うーむ…赤い桜が咲いたのはイチゴシロップかけたからかもしれない…！きっとそうだ…！ろしさんのいちご(仮)とは違うはず…！ (2017年7月29日 23時) (レス) id: bad6cea424 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - ｋちゃんさん» 私もシャンデラとか好きです。可愛いですよね。 多分もう何かを埋めてはいますよ…彼は。 黒は適当人間(？)なので、渾名も恐らく何も考えてません(笑)故にたまに酷い (2017年7月28日 0時) (レス) id: ed671a183d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヴァーニャ | 作成日時：2017年6月11日 21時
