いざ。 ページ50
「今日は外出しないんですか？」
朝食後、カメラの手入れを始めたAに、彼は首を傾げた。
「うん。今日はゆっくりしようと思って」
カメラを磨き終えて、ピントやズームの確認を入念に行いつつ、Aは彼に微笑みかける。
当然被写体は花京院だ。
「僕に気を遣わないでくださいね。少し取り乱しはしましたが……僕なら大丈夫ですよ」
「そう……？」
彼の中では大丈夫になったらしいが、やっぱり普段より口数が少ないようにAは感じる。
その分、脳内で彼女は考え事をしていた。
(無理は良くないけれど、本人が大丈夫と言っている以上、あまり気を遣いすぎるのも余計なお世話になるのかもしれない……あと承太郎さんも見てみたい。とても)
それを知ってか知らずか、花京院はAに生暖かい視線を送っている。
顔に出ている、というやつなのだろう。
「熱中症対策で飲み物と……一応サンドイッチだけ持っていこうかな。作るからちょっと待っててね！」
そわそわとキッチンに向かう彼女を見送り、花京院は自身の旅行鞄を漁る。
今まで通りの流れであれば、少なくとも主人公である承太郎には邂逅するはずだ。
彼のスタンド、スタープラチナには、暗闇の中のハエを見つけられるほどの視力がある。
もし彼に見つかれば、Aが花京院に何かをしたスタンド使いだと思われて、攻撃されてしまうかもしれない。
なので、万が一を考えて変装しておこう、という感じだ。
サングラスにストール、だが服はいつもの学生服。
変装であればAが作った服を着るべきだと花京院はわかっていたが、この地においては気を引き締めるために旅と同じ服装で挑みたかったのだろう。
心做しか前髪もキリッとしている。
少しして、サンドイッチを詰めたランチボックスを持ったAがやって来た。
「ごめん、お待たせ！……どうしたの？なんか今日かっこいいね？」
「いえ、別に何も……」
いつも通りな彼女に、少し花京院は頬を緩める。
「じゃあ、行こうか」
「はい」
お揃いにしよっと、と彼女が巻いたストールに花京院は身を潜めた。
緊張の面持ちで扉を開けば、乾いた風が頬を撫でる。
この地をジョースター一行が歩んだのだと思うと少し感慨深い。
「猫太郎さん、今日もお願い」
Aが声をかけると、猫太郎はすん、と鼻を鳴らしてから先を歩き始める。
顔を上げ、Aはその後ろ姿を追いかけた。
着実に終わりへと近付くその一歩を、ほんの少しだけ躊躇しながら。
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アーディ(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» ふふ、秘匿したかいがありました……登場予定はなかったんですけどせっかくなので一瞬こんにちはしてもらいましたよ。コメントありがとうございます。 (11月12日 14時) (
レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 少年…う そ だ ろ ってなりました、この時間軸幼ディオもいるのか…？！妄想がはかどる！！めっちゃびっくりしました！ (11月12日 9時) (レス) @page36 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» びっくりしていただけて何よりです。(この後どうするか特に考えてなかったので出番はもうないかもですけどね(￣▽￣;)) (11月12日 4時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - ジョナサンだったんだ！びっくりー！ (11月11日 22時) (レス) @page36 id: 6ada67d0b8 (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» 次のお話で明らかにする予定です〜！お楽しみに！！ (11月10日 18時) (レス) @page35 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2023年1月18日 2時
