結局ここは何処なんだって話なんよ。 ページ34
「ちょっとだけ……人に声かけられたら戻るから……」
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですって」
周囲に溶け込めるようにと、Aはシンプルな白いシャツに丈の長いスカート、それから膝下まであるブーツを履いている。
そんな彼女を、花京院は肩に乗りながらクスクスと笑った。
「なんだか子供の頃に戻ったみたいで楽しいです」
「学生なんだからまだ子供だと思うよ？」
外に出るとなると彼を隠さなければならないと考え、Aは先日買ったばかりの蓋付きのバスケットにハンカチを敷いて、そこに入ってもらう事にした。
まだ誰も踏み荒らしていない雪に足跡をつける子供のように、恐る恐るAは扉から一歩踏み出す。
猫太郎も扉をくぐったのを確認してから、室内に置いてあった鍵を使って戸締りをした。
ホテル(？)の外観は室内と違って町の景色に溶け込んでいるものの、目印とでも言うように屋根の色が少し明るい。
周囲には電柱や標識等も見当たらず、ここが本当に日本ではないのだと実感した。
「とりあえずホテルから離れましょう」
「う、うん……」
視線だけを泳がせて周囲の様子を伺う。
人々は忙しなく日常を送っているようで、こちらには目もくれていない。
その彼らの日常ですら、Aからすれば非日常に他ならないのだが。
(小さな子も働いてる……あれは靴磨き、かな？)
他にも掃除夫や花売りの子……Aよりも歳下の子供が、ボロボロの服を着ていたり、裸足のままで当然のように仕事に勤しんでいた。
絵画や映画では美化されて服が整っていたり、血色が良く描かれていたりするが、実際に見ると過酷な環境で働いている事がよくわかる。
Aは彼らに哀れみや、自分がそうじゃなくて良かったと思うでもなく、ただ敬意を抱いた。
(かと言ってお金を使ってあげたり物をあげたりは出来ないんだけど……この国の通貨は持っていないし、1人に情を抱いたら全員気になっちゃうからなぁ……)
猫太郎に前脚でぺしぺしと叩かれてAは我に返る。
先導するように前を歩いていくので、それについて歩くことにしたようだ。
「どんどん町から離れていくね……」
「猫太郎、何処に向かっているんだい？」
人目が無いのを確認しながら花京院がバスケットから顔を出すと、猫太郎は振り返ってひとつ鳴いた。
「え？ああ、人が多いところは苦手なんだな……」
何か分かっている風な花京院をチラ見しつつ、Aは辺りを見回す。
人工物のない、のどかな川だ。
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アーディ(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» ふふ、秘匿したかいがありました……登場予定はなかったんですけどせっかくなので一瞬こんにちはしてもらいましたよ。コメントありがとうございます。 (11月12日 14時) (
レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 少年…う そ だ ろ ってなりました、この時間軸幼ディオもいるのか…？！妄想がはかどる！！めっちゃびっくりしました！ (11月12日 9時) (レス) @page36 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» びっくりしていただけて何よりです。(この後どうするか特に考えてなかったので出番はもうないかもですけどね(￣▽￣;)) (11月12日 4時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - ジョナサンだったんだ！びっくりー！ (11月11日 22時) (レス) @page36 id: 6ada67d0b8 (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» 次のお話で明らかにする予定です〜！お楽しみに！！ (11月10日 18時) (レス) @page35 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2023年1月18日 2時
