順応する君と ページ10
Aはまず家族の現状把握に務める。
母親は確か今日は夜勤のため、お昼を食べたらすぐ仕事に行ってしまうはずだ。
対する父親は今日は仕事が休みのため一日中家にいる。
つまり、問題は父親。
彼は自室よりもダイニングと繋がっているリビングでテレビを見ていることが多く、リビングに行けば彼の目に触れることは確かだ。
小さい花京院は朝の食事量から察するに食べる量も少ないのだろうが、食べる早さは人並み。
Aには花京院を急かせるなんてことができるはずもなく、短時間離脱は難しいだろうと仮説を立てた。
(そもそも食べるの遅いのは私なんだけどね)
ひとまず花京院を連れて一階に降り、リビングの様子を伺う。
･･････テレビを見ながら眠っているようだ。
母親はいつの間にか家を出ていたらしく、リビングには見当たらない。
このチャンスを逃すまいと父親を起こさないように静かに扉を開け、母親が作り置いてくれたお昼をお盆に乗せていく。
二階に向かうところさえ見られなければ自室で食べていることに気付かれないだろうから、多分怪しまれないはず。
自身のタイミングの良さを神に感謝しながら、醤油皿もお盆に乗せて自室へ戻った。
今回は凌げたが次もうまくいくものだろうか。
不安になりながら机にお盆を置くと、花京院の息が頬を掠めた。
「親に見つかるとマズい」という話はしてあったので、見つからなかったことに安堵したのだろう。
そんな彼は今、Aの右肩に座っており、落ちないように緩く髪を掴んでいる。
それを所望したのは花京院で、もはや自身の小ささを楽しんでいるようにも見えた。
机に降ろしながらそのことについて聞けば、「不便ですけど、楽しいですよ。この体も」と爽やかな笑顔を見せられたので今年で自分が死ぬんじゃないかという錯覚さえ覚える。
かくしてお昼ご飯を食べようとする二人だったが、花京院が使える箸やスプーンがないことに気付いて頭を抱えた。
「素手で食べます」という花京院を必死に止め、どうすれば安全に食事がとれるかを模索する。
「確かに安全かもしれませんけど･･････」
結果、Aが花京院に「あーん」する形で落ち着いた。
大きさ的にあーん、ではなく餌付けに近い上、花京院の一口サイズに箸では切ることができず･･････ますます餌付けにしか見えない。
それでも恥ずかしがる花京院を見て、Aはにやけを抑えるのに必死であったそうな。
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アーディ(プロフ) - Fukuminさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。まだ完結出来ていないので更新頑張りますね！ (11月20日 0時) (
レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
Fukumin(プロフ) - 初コメ失礼します。いや本当に素敵です。好きです(( 主人公ちゃんと花京院との相性は最高に良きです。最高ですありがとうございます!! (11月20日 0時) (レス) @page6 id: 4c4c4d178d (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» いつもコメントありがとうございます。お陰様で50話埋まりましたので、続きが書け次第続編へ移行させていただきます。小ささ故に守れないもどかしさで花京院は苦しみそうな予感……のんびりお待ちください〜 (2023年1月18日 0時) (レス) @page50 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - 夢主ちゃんの健気さと花京院のカッコよさにきゅんとしてしまいます。冬に夏のお話も乙なものですね。更新楽しみにしています。 (2023年1月18日 0時) (レス) @page49 id: 798df1e4bf (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - 更新が遅すぎて冬場に夏の話をしています、作者です。小説内の暑さと現実の寒さをいい感じに合わせて暖を取っていただければと思います(？)もう少しで50話なのでがんばりたいですね。皆様風邪など召されませんよう。 (2023年1月14日 9時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2018年7月8日 20時
