特典:『夢』 ページ43
「Aさん？」
店員にどんな内容なのかと聞こうとしたところで背後から声がかかった。
振り返れば綺麗な赤髪が目に入る。
そこには小さくない花京院が立っていた。
見た所怪我はしていないようだが、あんな命の危機の後だ。
なりふり構わず私は彼に抱きついた。
「うわぁぁぁっ！ごめんね花京院！助けてくれてありがとう！」
怪我してない？と少し体を離して顔を見ると、きょとんとした顔の彼と目が合う。
心配したんですよ、と小さく吹き出して苦笑しながら、花京院は優しく頭を撫でてくれた。
親にも撫でられたことはないが、何故だか懐かしく、落ち着くような気がする。
すっかり和んでしまったが、馴れ馴れしくしすぎたと気付いてそろそろと離れると、もういいんですか？と首を傾げるものだから心臓によろしくない。
相変わらず君は可愛いな。
「……とまぁ、これが夢、ですねぇ」
なる、ほど？
掴みきれていない様子を見かねた店員から補足が入る。
特典の『夢』は、どうやら互いの夢の中に干渉できるようになるらしい。
つまり同じ時間に寝れば夢で会って話せるようになるわけだ。
何それロマンチック……夢で逢いましょうが叶っちゃうなんてどこの少女漫画だ。
しかし、そう……どんなに考えても、この特典も花京院を救う手立てにはなりそうもない。
花京院が帰るまでの間なら、寝ても覚めても話せるのは魅力的だと思うが……。
彼の死に際の映像が頭を過り、思わず表情筋が引き攣る。
特典に頼らずに救う方法も考えておいた方が良いのだろうか？
戻ればもうすぐに死んでしまうであろう彼を、どうやって……？
「夢の中だからか……なんだって出来そうな気がする……」
小さな呟きに顔を上げると、
ツヤツヤとした表皮、その奥に映る精神エネルギーの鮮やかな緑。
どこか特撮ヒーローを思い起こさせる頭部は、彼の幼少期に好きだったものに起因しているのだろうか。
再会を喜ぶ友人のように抱擁を交わすのを微笑ましく見守る。
スタンドを夢とはいえこの目で見られるなんて、得難い経験だなぁ、なんて考えながら、ぼんやりと紅茶を啜った。
……いつの間に紅茶なんて持ってたんだ？
ぎょっとしつつも、思ったり願ったりすれば物を具現化するのは容易らしく、私達は目が覚めるまで夢の世界を楽しんだ。
朝、目が覚めたら君がいて→←他人に見られないためだと供述しており...
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アーディ(プロフ) - Fukuminさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。まだ完結出来ていないので更新頑張りますね！ (11月20日 0時) (
レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
Fukumin(プロフ) - 初コメ失礼します。いや本当に素敵です。好きです(( 主人公ちゃんと花京院との相性は最高に良きです。最高ですありがとうございます!! (11月20日 0時) (レス) @page6 id: 4c4c4d178d (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» いつもコメントありがとうございます。お陰様で50話埋まりましたので、続きが書け次第続編へ移行させていただきます。小ささ故に守れないもどかしさで花京院は苦しみそうな予感……のんびりお待ちください〜 (2023年1月18日 0時) (レス) @page50 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - 夢主ちゃんの健気さと花京院のカッコよさにきゅんとしてしまいます。冬に夏のお話も乙なものですね。更新楽しみにしています。 (2023年1月18日 0時) (レス) @page49 id: 798df1e4bf (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - 更新が遅すぎて冬場に夏の話をしています、作者です。小説内の暑さと現実の寒さをいい感じに合わせて暖を取っていただければと思います(？)もう少しで50話なのでがんばりたいですね。皆様風邪など召されませんよう。 (2023年1月14日 9時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2018年7月8日 20時
