『Don't Stop Me Now』 ページ30
「……両方Aなので、良ければ妹の事は名前で呼んでやってください」
「ちょ、ちょっと！お兄ちゃん……！」
「……！」
成程、そういう事か。
「Aさん」
「ひゃいっ！？」
わたしは自然と彼女を名前で呼ぶ権利を得た、という訳だ。
そう思えば悪くは無い。
「では……Aさん、改めて確認するよ。今日は君の買い物に付き合う予定だったが……そのお兄さんも一緒ということなんだね？」
「は、はい、そうです」
「オレはマジで付き添いなんで、気にしないでください。あ、荷物持ちくらいにはなりますよ」
壱月という男はわたしに彼女の隣を譲るように後ろへ下がる。
二人きりになれないのは少し残念だが、邪魔をするつもりが無いのならそれでいい。
わたしは気を取り直して彼女へ笑顔を向ける。
「デートはまた今度だね」
「デッ！？」
彼女は顔を赤くした。
可愛らしい反応に、つい笑みがこぼれる。
「ほらやっぱデートじゃねぇか……今からでもオレ帰りますよ？」
「いいや、そのままで構わないよ。Aさんも緊張しているみたいだしね」
なんなら、この男からもっと彼女の事を聞き出すのも有りだろう。
彼女との今後の為にも、良好な関係を築いておく事は重要だ。
「今日の予定なんだが……君達さえ良ければ、わたしの買い物にも少し付き合ってもらって構わないかな？」
「あぁ、はい……大丈夫です……」
「じゃあ、行こうか。壱月さんも」
「うぃーす」
わたしが彼女をエスコートして助手席に乗せ、後ろに壱月が座る形となった。
シートベルトをしながら、横目で彼女を見る。
今日の彼女は、シックなワンピース姿だった。
彼女が着るには少し大人っぽいかと思ったが、清楚な印象と彼女自身の危うげな雰囲気によく合っていると思う。
「今日の格好も可愛らしいね、Aさん」
「あ……ありがとうございます……」
彼女は照れたようにそっぽを向いた。
その反応も可愛らしくて、わたしはつい笑い声を漏らしてしまう。
彼女の愛らしさは留まる事を知らない。
「……壱月さん、君もそう思うだろう？」
「んー……まぁ、そうですね。いいセンスしてると思います」
我が意を得たり、とばかりに壱月とミラー越しに視線を交わす。
彼とは仲良くやっていけそうだ。
いつものようにCDを再生し、エンジンをかける。
「……お、洋楽だ」
あの日のAさんと似たような反応を示すものだから、わたしは彼女と顔を見合せて笑った。
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アーディ(プロフ) - 餡さん» コメントありがとうございます！本当はもっと短く纏めるつもりだったので、間に合うか間に合わないかの瀬戸際でヒヤヒヤしながら書いておりました。吉良さんの魅力が伝わっているなら何よりです。最高の褒め言葉ありがとうございます！読破お疲れ様でした！ (1月31日 13時) (
レス) @page42 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
餡(プロフ) - 完結おめでとうございます。まさか吉良さんの誕生日に合わせて執筆されていただなんて…！細密な描写が色んな視点で描かれていて、とても面白かったです。本当に吉良吉影という人物の魅力がたくさん詰まった作品だと思います。素敵な物語をありがとうございました…！ (1月31日 8時) (レス) @page42 id: 493b9f8f47 (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - ゆーりさん» くそっ……じれってーな。俺ちょっと2人を進展させてきます……！(コメントありがとうございます！作者的にももどかしいです！！！) (1月26日 22時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり(プロフ) - あー！！！もどかしい！ドキドキしますね…！！！ (1月26日 16時) (レス) @page32 id: bb43593a3a (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - のんさん» ありがとうございます、先はまだちょっと悩んでますが、更新頑張りますね！ (1月11日 21時) (レス) @page9 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2024年1月8日 23時
