『Sheer heart attack』 ページ28
「君さえ良ければ、わたしは喜んでお供させてもらうよ」
声がほんの少し上ずってしまった。
期待するなと言う方が無理だ。
待ち続けたわたしに、ようやく彼女が振り向いてくれたのだから。
そんなわたしの内心を知ってか知らずか、彼女は安心したように笑う。
その笑顔がまた可愛くて、自然とこちらの表情も緩んでしまった。
「では、連絡先を……」
わたわたとメモ用紙に番号とアドレスを書き出す彼女を見て、どこかくすぐったい気持ちになった。
今のわたしは、相当浮かれているに違いない。
その自覚はあったが、それでもこの幸福感を堪えきれないのだ。
「お暇な時に、連絡ください。いつにするかは、そちらで話し合いましょう」
「あぁ、分かったよ」
メモ用紙を受け取り、鞄にしまう。
今すぐにでも彼女の連絡先を自分の携帯に打ち込んでおきたかったが、あまりガッツいていると思われるのは心外なので、帰宅してからにすべきだ。
わたしは喜びに打ち震えながら会計を済ませた。
「じゃあ、また連絡させてもらうよ。Aさん」
「はい……お待ちしてますね、吉良さん」
彼女の少し照れたようにはにかんだ笑顔も、今では勿論わたしにしか見せないものだ。
車に乗り込み、ぐっと拳を握る。
念願のデートの約束を取り付けたわたしは、喜びに満ち溢れていた。
彼女の笑顔、照れた顔、喜んだ顔を思い出し、脳内でその場面を再生させる。
だらしなく頬を緩めながら、ギアに触れた手で軽くリズムを刻んだ。
流れる曲の歌詞を口ずさみ、道中で手に入れた
昂る気持ちを抑えきれなかったが、女の子受けがする服というのは女の子に聞くのが一番だろう？
服を新調し、家路に着く。
早速彼女のアドレスと番号を登録し、まずは当たり障りなく、ちゃんとメールが届いているか、Aさんで間違いないかといった確認のメールを送っておいた。
彼女はまだ仕事中なのか、返事が来たのは数時間後だ。
『届いていますよ。ご連絡ありがとうございます。吉良さんでお間違えないですか？』
という文面のメールを見て、つい口から熱い吐息が漏れた。
簡素なのが、彼女からの言葉だと思うと初々しく感じる。
たどたどしく、時間をかけて打ったのだろうか、なんて妄想をしながら、ゆっくりと本題に入り、デートの日取りを決めた。
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アーディ(プロフ) - 餡さん» コメントありがとうございます！本当はもっと短く纏めるつもりだったので、間に合うか間に合わないかの瀬戸際でヒヤヒヤしながら書いておりました。吉良さんの魅力が伝わっているなら何よりです。最高の褒め言葉ありがとうございます！読破お疲れ様でした！ (1月31日 13時) (
レス) @page42 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
餡(プロフ) - 完結おめでとうございます。まさか吉良さんの誕生日に合わせて執筆されていただなんて…！細密な描写が色んな視点で描かれていて、とても面白かったです。本当に吉良吉影という人物の魅力がたくさん詰まった作品だと思います。素敵な物語をありがとうございました…！ (1月31日 8時) (レス) @page42 id: 493b9f8f47 (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - ゆーりさん» くそっ……じれってーな。俺ちょっと2人を進展させてきます……！(コメントありがとうございます！作者的にももどかしいです！！！) (1月26日 22時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり(プロフ) - あー！！！もどかしい！ドキドキしますね…！！！ (1月26日 16時) (レス) @page32 id: bb43593a3a (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - のんさん» ありがとうございます、先はまだちょっと悩んでますが、更新頑張りますね！ (1月11日 21時) (レス) @page9 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2024年1月8日 23時
