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安寧よ ページ10

少しずつ精神面の安定を取り戻し、私はあの村のことを思い出すことが少なくなっていた。









猗窩座様は女や子供は殺さないそうだから、栄おばさんも無事だろう。









よかった、と思う反面、苦い顔をしてしまう。
帰ってきて次の日に鬼に襲われたのだから、なにか厄を運んできたと言われても言い返せない。








『………よし』









猗窩座様は、自分は鬼だから人間しか食べない と言うけれど、本当だろうか。









私の食事の時間は遅い。








父が食事を食べるまでは手をつけることを許されなかったからだ。酒に溺れた父が食事に手をつけることは奇跡にも近く、時には亥の刻(22時)になることもあった。









そういうわけで、すっかり体内時計が狂ってしまい私の食事時間などはすべて普通の人より数刻ズレている。









麓の村に降り、持ち上がれる分の食材だけを買って調理する。








村人は始めこそよそ者がいると怪訝な顔をしたが、旅人がしばらくの間山で足を休めていると思ったらしい。
三日後には普通に話しかけられるようになった。









湯浴みについても不便はない。
沸かすのが面倒なので廃道場の裏にある川に赴き濡らした布で拭いている程度だ。








もちろん特別寒い日は沸かしているが。









「……A」








ああ、今日も来てくれた。








頬が緩むのを必死に堪えて顔を向ける。
猗窩座様の双眸は、闇に浮かんでまっすぐこちらを見据えていた。









『はい、猗窩座様。』








するりと彼が向かいまでやってくる。
彼がやってくる時間は、いつも私の食事に被ってしまう。








彼は私が食べ終わるまで向かいで黙って座っている。
目を瞑り、私が視線を気にしないように待ってくれている。









なぜそうするのかと聞くと、









「人間は食事をとらなければ死ぬ、ということは無い。だが、心が荒む。……俺はAに穏やかであって欲しいと思う。食事の場すらも安らげなかったお前の為に、俺はこうしている。」









とのことだった。
きっと彼は、いくら女子供を殺さない鬼でもこんなに一人に執着したことは無かっただろう。









──私は彼の特別。









自惚れてもいいのだろうか?









「A」








『はい』








彼は珍しく声を発した。








「美味いか?」








『……はい!』








彼は少し眉尻を下げて、「そうか」と微笑んだ。

逢引→←猗窩座は言う



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#鬼の味方 - この小説凄くはまりました! 続きがみたいです! 猗窩座カッコ良すぎてやばいです! あと、無惨様は敬語使わないですよ! 「○○しなさい」じゃなくて「○○しろ」の方が良く言ってます! 応援してます!!! (2020年12月30日 5時) (レス) id: 26ef1f84d5 (このIDを非表示/違反報告)
柊 飛々(プロフ) - rioさん» 光栄です。これからもよろしくお願いします。 (2020年11月5日 6時) (レス) id: 04e9c86118 (このIDを非表示/違反報告)
rio - 更新楽しみに待機させていただきます! (2020年11月4日 23時) (レス) id: 0ce86c1008 (このIDを非表示/違反報告)
柊 飛々(プロフ) - マリイさん» あ、奇遇ですね。私も猗窩座様と魘夢ちゃんは推しです。ご拝読賜り光栄です。これからもよろしくお願いします。 (2020年11月1日 21時) (レス) id: 04e9c86118 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 猗窩座大好きです鬼滅の鬼は皆好きだけど1番好きな鬼は猗窩座 魘夢 無惨様の3人 (2020年11月1日 21時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柊 飛々 | 作成日時:2020年8月13日 0時

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