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健やかで ページ3

「な、なぁ、A、落ち着け、大丈夫だから。」







震えた声で、“お父様”が私に言った。
でも、聞こえないフリをする。
彼は私に、ずっとそうしてきたから。








『貴方、お祖母様からの手紙を、隠していたでしょう。』







「悪かった、悪かったから、包丁を、置こう。な?」







ぐっと包丁の柄を握りしめた。
手汗で滑ってしまいそうだ。








『殺されたいのですか? 私が聞いた事以外で喋らないでください!』






ひぃ、と彼が短い悲鳴をあげた。








『もう、貴方のお守りなんてウンザリです!
私は、お祖母様の所に戻ります!』







いつまでも、朱染郎が迎えに来てくれないから。







**






ここがどこかなんて気にしたこともなかったけれど、
私が元々住んでいたところからそう離れては居ないらしい。








たまたま近くを通った牛車に乗せてもらって、すぐに私は
故郷(ふるさと)へと帰ってきていた。








何も変わっていない町並み。少し家が減ったか?







畑が荒廃している。








『お祖母様!!』







私はかつて住んでいた家に飛び込んだ。
祖母は寝込んでいた。手紙は、祖母を看病してくれている栄おばさんという人からのものだった。








「まぁ、Aちゃん! 帰ってきたんだね! ほら、トチおばあちゃん、Aが帰ってきたよ、ほら。」







「……A…、A……。ああ…、大きく、なったねぇ。こりゃ綺麗な美人さんだ、……ああ。」








綺麗なんかじゃないよ。
私の体は、殴られた跡でいっぱいだもん。






ねえ、お祖母様、私を置いていかないで。
一緒に居られなくてごめんなさい。私がもっと早く帰ってくれば、良かったのに。









ずっと昔にお祖母様がしてくれたみたいに、
手を握ってあげる。





皺が沢山浮かび、骨の形が見てわかるほど痩せた手。
私を温めてくれた手。私はこの手を、もっと握れた筈なのに。









「いつまでも……綺麗で…優しくて、……健康に、いきなさいよ、A……。」








『……うん』







もう遅すぎた。祖母は、その日のうちに眠ってしまった。









「最近、“鬼”が出るから、夜に出歩いちゃいけないよ。」





栄おばさんは忠告だけすると私を一人にしてくれた。









『おばあちゃん、おばあちゃん…!』









時間をかけて徐々にぬるくなっていく体温を、私は忘れはしないだろう──。

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#鬼の味方 - この小説凄くはまりました! 続きがみたいです! 猗窩座カッコ良すぎてやばいです! あと、無惨様は敬語使わないですよ! 「○○しなさい」じゃなくて「○○しろ」の方が良く言ってます! 応援してます!!! (2020年12月30日 5時) (レス) id: 26ef1f84d5 (このIDを非表示/違反報告)
柊 飛々(プロフ) - rioさん» 光栄です。これからもよろしくお願いします。 (2020年11月5日 6時) (レス) id: 04e9c86118 (このIDを非表示/違反報告)
rio - 更新楽しみに待機させていただきます! (2020年11月4日 23時) (レス) id: 0ce86c1008 (このIDを非表示/違反報告)
柊 飛々(プロフ) - マリイさん» あ、奇遇ですね。私も猗窩座様と魘夢ちゃんは推しです。ご拝読賜り光栄です。これからもよろしくお願いします。 (2020年11月1日 21時) (レス) id: 04e9c86118 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 猗窩座大好きです鬼滅の鬼は皆好きだけど1番好きな鬼は猗窩座 魘夢 無惨様の3人 (2020年11月1日 21時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柊 飛々 | 作成日時:2020年8月13日 0時

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