猗窩座は言う ページ18
これで良かったのだ、と思う反面、
本当に良かったのか? と疑問を浮かべる自分もいる。
「やぁ、猗窩座殿! 浮かない顔をしているねぇ」
神経を逆撫でする声音が響いて睨む。
上弦の弍、童磨だ。
「なにかあったの? 最近人間の女の匂いを
何か言う前に手が出ていた。
いつもなら素直に首を飛ばされる童磨が、今回だけはどういうわけか、俺の拳を避けた。
「それとも猗窩座殿、色恋沙汰かな? いいねぇ、狙った女は早く仕留めないと。その内首を吊って死んでしまうかも!」
けらけらと愉快そうに笑う。
ああ、不愉快極まりない奴だ。
それだけ思うと、俺は、そこから離れた。
「女は特に脆いからね! 気をつけるんだよー!!」
要らぬ世話だ、と口の中で呟いた。
___
俺は以前、夜をどのように過ごしていたのだろう。
ここ最近毎夜のようにAを訪ねていたために、思い出せなかった。
『………ああ、クソ。』
だからと言うわけではないが何故か俺は、またあの場所を訪ねていた。
違う、これは確認だ。
Aがちゃんと山を降りたかどうか。あわよくばきちんと医者にかかっているかの確認も。
そうだ、これは、俺の義務にも等しい。
道場に近づいた時点で嫌な予感はしていた。
そろそろと戸を開ける。
向こう側には確かに、律儀に布団を敷いて眠る女の姿があった。
──ああ、と思わず呟いた。
「………ぁ、あかざ……様………?」
もう喋ることも苦しいのか、彼女は咳き込んだ。
白い布団には何度も咳き込んだのか赤い染みが飛び散っている。
『村に降りろと、言っただろう、』
「猗窩座さま…………」
彼女は無理矢理起き上がろうとした。
慌ててその傍らに寄り、横になるように促す。
熱があるのか汗が額に浮いている。
「猗窩座さま」
『いる、俺はここにいる。』
伸ばした手を掴み、自分の頬に寄せる。
力なく微笑んだ彼女は「猗窩座さま……」と場違いに喜んだ。
「ねぇ、猗……窩座さま……、」
──わたしは、隣に貴方がいない幸せを生きるより、貴方の隣で不幸に死にたい。
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#鬼の味方 - この小説凄くはまりました! 続きがみたいです! 猗窩座カッコ良すぎてやばいです! あと、無惨様は敬語使わないですよ! 「○○しなさい」じゃなくて「○○しろ」の方が良く言ってます! 応援してます!!! (2020年12月30日 5時) (レス) id: 26ef1f84d5 (このIDを非表示/違反報告)
柊 飛々(プロフ) - rioさん» 光栄です。これからもよろしくお願いします。 (2020年11月5日 6時) (レス) id: 04e9c86118 (このIDを非表示/違反報告)
rio - 更新楽しみに待機させていただきます! (2020年11月4日 23時) (レス) id: 0ce86c1008 (このIDを非表示/違反報告)
柊 飛々(プロフ) - マリイさん» あ、奇遇ですね。私も猗窩座様と魘夢ちゃんは推しです。ご拝読賜り光栄です。これからもよろしくお願いします。 (2020年11月1日 21時) (レス) id: 04e9c86118 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 猗窩座大好きです鬼滅の鬼は皆好きだけど1番好きな鬼は猗窩座 魘夢 無惨様の3人 (2020年11月1日 21時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 飛々 | 作成日時:2020年8月13日 0時