締めつける ページ4
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「じゃあ行こっか」
何もできずに立ち尽くしていると
いつの間にか準備を終えていた北斗くんに覗き込まれて
完全にブルーな気分のまま
助手席に乗り込んだ。
最初に、住んでいるアパートの場所を聞かれたくらいで
お互いに無言のまま、何度目かの信号待ちで
「…なんか、嫌な気分させちゃった？」
しまった。
北斗くんに気づかれるくらい、態度に出てしまっていたんだ。
まるで子どもだ。
高校生から何も変わっていない。
私が子どもだから。
色気もないし、すぐに拗ねちゃうから。
「あっ…いや、明日大学で小テストあるので、そのこと考えてました」
「あはっ、そういうこと？俺なんかしちゃったかなってめちゃめちゃ考えちゃったんだけど」
高校生のときの距離感とさほど変わっていなくて
もっと求めてしまう自分が嫌になってました、
だなんて言えないし、言いたくない。
先生と、生徒の距離感って
こんなに遠かったんだ。
「先生は、何も悪いことしてないです。今日、すごく楽しかったです！」
「あーそう？それならよかった、てかなんでここで松村“先生”なわけ？」
「あ…北斗くん、」
「もう生徒と教師の間柄は卒業したでしょうが」
「………」
「…A？」
「……そうですか？」
北斗くん、が私の方をパッと見たのがわかった。
でも、目を合わせるなんて、今のわたしには到底無理だった。
だって、泣いちゃうから。
ちょうど、わたしのアパートの前に着いて
シートベルトを外そうとすると
「ちょっと待って」とその手を掴まれた。
「すみません、すぐ帰ります」
目を合わせられないまま、
なんとかシートベルトを外して
ドアに手をかけ、車から降りようとしたのに
北斗くんに捕まえられたわたしの右腕。
じわじわと伝わる体温と
心地よい締め付けが、恋心を加速させて苦しい。
「ねえ、なんで目合わせないの？」
「ほんとにごめんなさい、今日は、帰ります」
「こんなんじゃ帰らせらんないよ」
「…課題が、あるので。早くやらないと間に合わないので、帰ります、今日はありがとうございました」
力が緩んだ隙に抜け出して、
顔が見えないように、深々とお礼をして
早足で部屋に戻った。
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リカ(プロフ) - 更新楽しみにしています (5月18日 0時) (
レス) id: 88810842d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 続きが気になります！更新待っています。 (2022年5月14日 4時) (レス) @page7 id: aef5fa864f (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 最高です！！！ (2022年5月1日 21時) (レス) @page7 id: 34004b60ef (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます！よろしければまたお付き合いおねがいします。 (2022年4月26日 18時) (レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - aaさん» 素敵なお言葉ありがとうございます！また楽しんでいただけたら嬉しいです (2022年4月26日 18時) (レス) @page7 id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき
| 作成日時：2022年4月18日 3時
