ジョングク栽培キット【JK】

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「私が今彼氏作れない理由知ってるじゃないですかぁ。ホソクさんのいじわる！」

「元気な男の子に癒されたい、日常に違和感なく溶け込むような〜って、抽象的だし別にピクチンじゃなくてもって思っちゃった」

「そりゃあそうかもしれないですけど……」

「要はさ、ジンヒョンに彼氏の存在を知られなければいいって話でしょ？単純に」

「そんな簡単じゃないんですよ！ほぼ毎日押しかけて来るから時間合わせるのも難しいだろうし、そもそも出会いの場所だって────、ッ、」





言いかけの唇にそっと押し当てられるボールペン。





「すとっぷ」





ヤバい、油断した。

と、思った時にはお馴染みのキラースマイルの矢が放たれていて、





「Aちゃんの望む条件をすべてクリアする男、一番近くにいるって早く気付いてほしいな？」





「ｳﾞｯｯﾞ、！！」





ストンと一直線に、心臓を射抜かれる。





短時間で2回もホソクトラップにかけられてしまうとは……。

やはりこの人間たらし、侮れない。















「成長の過程の報告と、生まれたら定期的に顔を見せに来ること。それだけは約束してね」

「本当にいいんですか？タダでもらっちゃって。……んん〜やっぱりお金、」

「いーのいーの。むしろ逆に僕も助かるよ！それじゃあまた明後日。お疲れさま〜」





…………なんか、色々譲り受けてしまったのですが。





数時間前全力ダッシュした通勤路を行きの何倍もかけてのろのろり、ピクチン育成グッズがたんまりと入った紙袋を両腕にぶら下げ、いただいたキットを抱えて帰路に着く。





“いいこと思いついた”とホソクさんがロッカーから取り出したのは、飾り気のない白くシンプルな鉢植えで。

店頭に並ぶ商品のように特性やスペック、寿命などの記載は無し、シュリンクもされておらず、生まれてくるピクチンの顔写真が蓋にペシっと貼られているだけの簡素な物だった。


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