今日もこの森の中で【ALL】 (ページ45)

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『風邪引いたら寂しくなるもんだろ普通』

「いやそのまさかー。しかもどストレートー」

『俺だって人間だわ』

「オッパは例外だと思ってた」

『は？お前俺のことなんだと思ってんの』

「冷徹石爺さん」

そう即答すると布団の中から器用に中指だけ出して立ててくる

治安悪！

ツンとデレが交差しまくってカオスなんだけど

「わーかった！分かったよ。居てあげるからさっさと寝て」

『フンッ』

「このスラダン借りるから。明日休みだし、いっそのこと読破してやる」

『いいけど大人しくしてろよ』

「そっくりそのまま返すわ」

体はやられても口は減らないな

風邪の原因を作ったのは私だしそこはもちろん申し訳ないと思ってるけど、すっかり大王様気分じゃないか

リビングからクッションとブランケットを持ってきて本棚から1〜5巻まとめて取り出し、ベッド横の毛足の長いラグに寝そべる

ベッドを覗くと既に彼は夢の中

早いな、全てが早い

𓂃 𓈒𓏸 𖤣𖠿𖤣𖥧𖥣｡𖥧 𖧧𖤣𖥧𖥣｡𖥧 𖧧𖤣𖠿𖤣 𓏸𓈒‬‬ 𓂃

ぱちくり

目を開くと自分の寝室ではない知らない部屋、の床

ああ……私ったら漫画読んでて途中で寝落ちしたんだ

2巻目の後半、記憶はそこで途切れていた

時計を確認するともう真夜中で、あれから大分時間が経っていることが分かる

固い床で長時間横になっていたせいで体はバキバキ

腰が悲鳴を上げている

なにで、とは言わないが

“ 目覚めるとドキッ！綺麗な寝顔が目の前に！寝ている間にベッドまで運んでくれたんだ……♡ ”

なんてよくある展開はこの世界では決して生まれない

オッパは相も変わらず、1人ふかふかベッドで夢の中だ

とりあえずうなされてる様子はなさそう

「ぶえっくしょーい！！うう、さむっ」

先程までは感じなかった悪寒が走り、ぶるっと身震いをした

人の心配してる場合ではない

言わずもがなこの後しっかり風邪を引くことになりそう

私もちゃんとした寝床で眠りにつきたいが、もう今から自分の家に帰るのも、なんならここから動くことすら億劫だ

少しスペースお借りしますか

起こさぬよう控えめにベッドに足をかけ、彼の足元でなるべく熱を逃がさぬように小さく丸くなる

薄いブランケットに包まれ

再び目を閉じたのであった

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