今日もこの森の中で【ALL】 (ページ42)

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【天才は風邪を引く】ページ42

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本日の業務も無事終了

珍しくも本なんかを借りに行こうかとここの一角にある図書館へと歩みを進めていた

が、途端に探偵ごっこの結末をユンギオッパに伝えようと思い立ち、踵を返す

ジンくんが序盤から私たちの存在に気付いてたって知ったら驚くかなぁ

楽器店との距離が近づいても今日はあのピアノの旋律が聞こえて来ない

接客中か、或いはまたボーっとしているか、かな？

「お疲れ様です！あの、ミン・ユンギはー、」

『Aちゃんお疲れ。用事だった？今日あいつ休みなんだ』

「休み？この前話した時、今週はシフトギチギチだって嘆いてたんですけど……」

『なーんか数日前から体調悪そうにしててさ。本人は出るつもりだったんだけど休ませたんだよ。有給も溜まってるし、無理するなって』

ギクリ

風邪？思い当たる節がありすぎる

言われてみればあの日の終盤、突然雨が降ってきた時に“ さみぃ ”と零していたような気がするし

あれが原因で体調崩しちゃったのかも……

もしそうなら悪いことしちゃった

んー、お見舞いに行こうかな

オッパに一言心配の連絡を入れてから再び図書館へ足を向けた

𓂃 𓈒𓏸 𖤣𖠿𖤣𖥧𖥣｡𖥧 𖧧𖤣𖥧𖥣｡𖥧 𖧧𖤣𖠿𖤣 𓏸𓈒‬‬ 𓂃

目的の本を選んでいると、長い脚を組んで真剣な顔して本に目を落とす人物の姿を見つける

周りに迷惑にならないように、小声で、っと

「フロアマネージャーは何読んでらっしゃるんですかー？」

『うわっ。――なんだAか。こんな所にいるなんて珍しいな』

「コレ借りに来たの。いつもナムジュニが本読んでる姿見て様になるなと思っててさ～。どう？博識そうに見える？」

『今よみがえる氷河期の動物たち…………。いやそれ、小中学生向けのただの図鑑だろ』

かけてもいない眼鏡をクイッと上げる身振りをして聞いてみるも、首をかしげて苦笑いを返された

どうやら私の思ったようには映らないらしい

『あー、もうこんな時間か。借りてすぐヒョンの家行こうと思ってたのに。ここで読み始めたらダメだな』

「ひょん？」

『ユンギヒョンの所。仕事終わったら行く約束してて』

「オッパだったら風邪引いて休みだって他の店員さん言ってたけど」

『えっ、さっきまでやり取りしてたけどそんなの一言も……』

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