今日もこの森の中で【ALL】 (ページ40)

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『ふぅ…………。前から試作続けてたカップケーキあるでしょ？何回試しても納得いくものに仕上がらないから、カンさんに相談してたんだよ。ただ、それだけのこと』

「はい？たったのそれだけ？？？」

『じゃあ、ヒョンの彼女じゃないってこと？』

『なんでそーなるんだよ。何勘違いしてるのか知らないけど、君たちが妄想してるようなのじゃないから』

「それならなんで聞いてもはぐらかしたの？隠す必要ないのに！」

『2人とも変な風に解釈して暴走するからさ〜、面白くなっちゃって。おかげで楽しませてもらったよ』

ジンくんの手のひらで転がされたのは解せない……

けど、あれだけ悩んでいたカップケーキがなんとか形になりそうだと言う

基本となる生地は定番化して、デザインは季節やイベントごとに変えていくらしい

「それにしても勘違いしちゃうくらい距離感近かったけど」

『実は昔から仲良い友達のお姉さんでもあるんだ。それに普段あんまり店に来ることないけど、俺が入社したての頃はよく来てたもんだよ』

「だからヌナ呼びだったんだ……」

『ヒョンが説明してた時に俺がちゃんと聞いてなかったばっかりに……』

他のカフェからアイディアが生まれないかと2人で視察に回ろうとしていた時、すぐそばで悪巧みする存在に気づいたジンくん

カンさんにそれを伝えて協力してもらい、わざと仲睦まじいカップルのデートを演出していたらしい

『まぁ、あの時テヒョンイはまだ入社してなかったし、ユンギの店だって階が違うから知らないだろうしね〜』

「それもそうか――――って、なんで今ここでユンギオッパの名前が！！？」

『君たちの尾行は分かりやすすぎるんだよ。看板の後ろに隠れてる時から気づいてた。おっきい声でユンギヒョン！！って叫ぶんだもん。もう俺おっかしくておっかしくて』

『序盤も序盤じゃん！うがぁーーーーっ！！！何から何まで俺のせいでーー！くやしぃーー！！』

点と点だったことが次々と繋がっていく

自分たちの中でのストーリーが暴走しすぎていただけで、全ては勘違いだったなんて

彼女も彼女で私たちの摩訶不思議な行動が面白くなり、ノリノリでやり切ってくれたそうで

渾身の探偵コスチュームも笑われ、ただただ辱めを受けただけだ

テヒョンイの勘違いに始まり勘違いに終わった探偵ごっこは、ここで幕を閉じることになる

紐解くように一連を話すこの時のジンくんの笑った顔は、あの貼り付けたようなものではなかった

私たちに向けるそれはいつもホンモノなのかもしれない

そんなことを、思ったりして

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