𓆁 ページ38
.
噂のその人はお世辞無しに本当に綺麗だ
傍から見れば美男美女のお似合いカップルにしか見えないだろう
落ち着きのある大人の雰囲気が滲み出ている
それからさほど時間は経っていないのにもう店を出るみたいで、慌ててカフェラテを流し込み後を追う
次はどこだろうと尾行を続けたが、次のお店もカフェ
なんとそのまた次も
私はカフェ巡りとかしないからそれが趣味の人のことはよく知らないけど、こんな短時間に何件も回るものなんだろうか
おっさん思考だから飲み屋とかのハシゴの方が嬉しいんだけど
ふわふわのパンケーキを可愛いフィルターをかけて写真を撮るより
酔っ払って股を広げて倒れているところをごりごりノーマルカメラで撮られる方が圧倒的に多いのだ
『初々しいデートで普通こんな同じようなとこばっかり回るか?俺なら無理』
『もう水分でお腹たぽたぽ〜』
「あ、もう出るみたい。もうカフェはやめてくれよー?」
3件目のお店を出ると、タイミング悪く空からポツ、ポツと冷たい雨が降ってきて地を濡らし始めた
彼は自分の着ていたジャケットを彼女が濡れないように頭から覆い、タクシー乗り場まで走る
その立ち振る舞いは紳士的に映った
『雨降ってきたしもう終わりにしね?もう本人に聞きゃいいだろ。なんかさみぃ』
『ここで諦めるんですか!?むぅ。特にこれといった収穫なかったな……』
「考えれば考える程まとまらないよ。オッパの言う通り、仕方ないけど今日はもう終わりにしとこ」
話す間にも降り続けるそれは次第に強くなり、次々と地面に濃いグレーの染みを作っていく
2人はするりと同じ車内に吸い込まれ、雨の滴る静かな街に消えていった
翌日、テヒョンイと揃ってジンくんにどういうことなんだと問い詰めたけれど
“ 今日も忙しいな〜 ”だとか言ってはぐらかされ、真相は未だ掴めないまま
しかしそのわざとらしい口振りが、何か隠しているということを物語っている
彼女ができたならできた、違うなら誰なのか話してくれれば終わることなのに
益々疑念を抱くだけだった
だが、私たちがここですんなり諦めるようなヤワな奴ではないということを忘れてはいないだろうか
ここまで首を突っ込んだ以上、しっかりと謎を解き成果をあげなければ
.
537人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:綻 | 作者ホームページ:https://twitter.com/_hokorochan_
作成日時:2022年11月27日 21時