【派生作品】主観的幸福 (ページ6)

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第3話神託ページ6

☽.*·̩͙

カラン、と店のドアのベルが鳴る。
お客さんが来たんだ。

「いらっしゃいま...せ...?」

...違う、多分。
この服装は見たことがある。聖堂教会の服装だ。

「こんにちは。我々は聖堂教会の者です。リアム・ベル様は、貴方のことで間違いないでしょうか？」

自分の名前を呼ばれてハッとする。
正真正銘の聖堂教会の方々だということは服装や堂々とした姿勢が証明している。
...なぜ僕が？

「は、はい。リアム・ベルは私のことです。何か...?」

そう言うと彼らは表情を変えずに、先程から続けている微笑みを崩さずに言葉を発した。

「貴方は神子に選ばれました。これはバルドル様からの神託です。貴方は世界を救う使命を、バルドル様から与えられたのです。」

「....え？」

聖堂教会の方々を待たせるわけにはいかないので、とりあえず店を一旦閉めて話を聞くことにした。
ちょうどいいタイミングで母さんが帰ってきたので、父さんと母さんと一緒に説明を聞いた。

「つまり、世界を救う旅をするということですね～。」

「リアムが世界を...？まあ、なんて素晴らしい使命を...。ですがリアムは、その、魔法をあまり使えないので、」

母がそう言うと、聖堂教会の方々は少し考える素振りを見せた。

「...上に伝えておきます。何かしらの対策は致しますので、ご安心ください。それと、我々が来たのは、神子様の『収集』のためであり、『お願い』をしに来たわけではございません。リアム様が神子になることは確定事項なのです。ご両親としては我が子を旅に出すのはお辛いかもしれませんが、世界を救うという素晴らしい行いをお子様がなさるという、一種の誇りのようなものを持つ考えがよろしいかと。バルドル様がリアム様をお選びになったのです。こんなに喜ばしいことはございません。」

そう、なのかな。
確かにバルドル様に選ばれたのは確かに喜ばしいことかもしれない。
でも僕にバルドル様の期待通りに使命を全うできるような力があるのかな。
でも母さんも父さんも、喜んでいるなら...。