巡り合った未来 7 ページ7
「ほら、早く」
宇佐美上等兵は、私の腕を強引に掴むと、そのまま引っ張っていく。
私はそれに必死に抵抗した。だが、彼はそんな私を無理やり連れて行こうとする。
「やだ！！離して！！」
私がそう叫ぶと、彼は苛立ったように舌打ちをした。
「うるさいなぁ。あんまり騒ぐと、殺しちゃうよ？」
彼はそう言って私の首に手をかける。その手の冷たさに鳥肌が立った。私は恐怖で声が出せなくなる。
「A、いい子にして。悪いようにはしないから」
宇佐美上等兵はそう言って微笑むと、そのまま私を引きずっていく。私は泣きながら抵抗したが、彼に敵うはずもなかった。彼は軽々と私を抱え上げると、そのまま家の外へと連れ出そうとした、瞬間。びくりと宇佐美上等兵の腕が震えた。
そして、そのまま彼は、私を放り投げる。地面に叩きつけられた私は痛みに呻いた。宇佐美上等兵は目を見開くと、じっと立ち尽くしている。何が起きたのだろうかと思っていると、「お前……」と宇佐美上等兵は後ろへと振り返った。
そこには、母がいた。その手には、包丁が握られており、先は宇佐美上等兵の背中の服に刺さっていた。
母は、はーッ、はーッと荒い息遣いのまま、宇佐美上等兵を見つめていた。その目はどこか虚ろで焦点が合っていないようにみえる。
「お母様ッ」
私は慌てて立ち上がると、母のもとへと駆け寄った。そして彼女の腕を掴むと、必死に呼びかける。だが、彼女は私の手を振り払ったかと思うと再び包丁を握ろうと、手を伸ばす。
「本当に使えないやつだなぁ」
その瞬間、今度は振り返って、宇佐美上等兵は母に向かって銃剣を振り上げて刺す。何度も、何度も。
「あ”ッ！！う”ぅ……！！」
母の口からは悲鳴が漏れる。私は呆然とその様子を見つめていたが、ハッと我に返ると、宇佐美上等兵を止めに入る。だが、彼は私の存在など見えていないかのように、執拗に母を刺し続けた。
「やめてっ！」
咄嗟に母の上から覆いかぶさるように宇佐美上等兵の前に飛び出た。勢い良く落ちてきた剣先が、私の左頬へと掠める。
「あっヤバっ」
「ッ！！」
皮膚が切れて、そこから血が滴り落ちた。痛みで顔を顰めるが、私は宇佐美上等兵から目をそらさずにいた。
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塩わさび(プロフ) - 名無し36195号さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！そう言っていただけるなんて嬉しいです☺️杉元編ができたら、お手隙の際に読んでいただければ幸いです。 (3月3日 19時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し36195号(プロフ) - 感動しました。本当に素敵な作品をありがとうございます。ぜひこれからも執筆してください。塩わさびさんの作品をもっと読みたいです。杉元のお話待ってます！ (3月3日 15時) (レス) @page44 id: 83cc8cc69d (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 蜂蜜姫さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！！またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします！🙇♀ (2月28日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜姫(プロフ) - 完結お疲れ様でした！とても素敵な小説をありがとうございました😊鯉登少尉と幸せになれてよかった！ (2月28日 21時) (レス) @page44 id: b1f5f5fccb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 飛炉さん» こちらこそ、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました☺またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします。 (2月26日 19時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2024年2月17日 17時
