幸せのカタチ 3 ページ31
「死に損ないの、鈍くさいクソ女にはお似合いの言葉だろ？なんなら、今この場でお前のこと殺してやってもいいんだぜ」
私はそんな尾形上等兵の言葉に、じとりと睨みつける。彼は私の反応をじっと観察していたかと思うと、「冗談だ」とせせら笑った。
「鶴見中尉殿の言いつけだからな。ひとまずは殺さないでおいてやるよ」
「……」
私は何も言い返せず、口を噤む。尾形上等兵は相変わらず私を小馬鹿にしたような表情で私を見ると、前方から動物の唸り声のようなものが聞こえた。
私はハッとして、前方を注視する。そこには、車体をの登ってこちらへと向かおうとするものがいた。
「ヒグマ…！？」
私は思わず目を見開く。
どうしてこんなところにヒグマがいるのだろう。
尾形上等兵もこれにはさすがに驚いたのか、「どうやって列車に？」と呟いていた。
「登ってこられるのか？」
ヒグマの鋭い爪が、車体へと食い込んでいる。このままだと、ヒグマが列車によじ登ってきてしまうだろう。私は思わず尾形上等兵を見つめた。
彼は私を見つめ返すと、楽しそうに笑みを浮かべる。
その目はまるで獲物を見つけた獣のようだった。
そこからは早かった。
突如現れたヒグマに対して、素早く照準を合わせたかと思うとを、徐に発砲する。銃弾は見事、熊の眉間を撃ち抜いた。
ヒグマが呻き声を上げながら、巨体をのけぞる。
だが、仕留めきれなかったようで、ヒグマはグッと体勢を整えると、その鋭い爪で器用に車体にしがみつき始めた。
「頭を撃ったのに生きてる…！？」
「ああ…。頭蓋骨が分厚いんだっけ。『強いやつを倒すときは、頭を狙わない』」
誰かの言葉を頭の中で思い出しているのか、尾形上等兵は興味深そうにヒグマの姿を見つめた。
そして、再び発砲しようと構えたとき、その動きが突如止まった。
「？尾形上等─────…」
不思議に思って尾形上等兵の方へ視線を向くと、言葉を詰まらせる。
なぜならば、尾形上等兵は後ろからきた人物に銃剣で刺されていたからだ。
「す、ぎもと、さん……」
私は思わず目を見開く。
ヒグマに気を取られていたのと、片耳が潰れているせいで、全く物音に気付けなかった。
すぐに慌てて、杉元さんの方へ銃口を向け、発砲した。銃弾は見事、彼の肩や腹へと命中する。
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塩わさび(プロフ) - 名無し36195号さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！そう言っていただけるなんて嬉しいです☺️杉元編ができたら、お手隙の際に読んでいただければ幸いです。 (3月3日 19時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し36195号(プロフ) - 感動しました。本当に素敵な作品をありがとうございます。ぜひこれからも執筆してください。塩わさびさんの作品をもっと読みたいです。杉元のお話待ってます！ (3月3日 15時) (レス) @page44 id: 83cc8cc69d (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 蜂蜜姫さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！！またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします！🙇♀ (2月28日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜姫(プロフ) - 完結お疲れ様でした！とても素敵な小説をありがとうございました😊鯉登少尉と幸せになれてよかった！ (2月28日 21時) (レス) @page44 id: b1f5f5fccb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 飛炉さん» こちらこそ、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました☺またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします。 (2月26日 19時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2024年2月17日 17時
