巡り合った未来 4 ページ4
「道連れにはできん」
彼はそう呟くと、列車同士の連結部分へと手を伸ばすと、留具を取り外した。ガタンッと大きな音を立てて、連結部分が外れる。
もうこれ以上、部下たちの犠牲を出さないために。
鯉登少尉は、鶴見中尉のことを嘘つきだと言っていたが、私には先程の言葉が嘘には聞こえなかった。
もしかしたら、権利書を独り占めするためにそう言ったのかもしれないが、それでも。
鶴見中尉が、部下を大事に思っている心は、事実だろう。
……いや、単に私が彼をそう信じたいだけなのかもしれないが。
「……さようなら」
もう二度と、鯉登少尉とは会うことはないだろう。
どうか、私のことなんて忘れて、幸せになってほしい。
そう願いをこめてつぶやくと、どこからか、まるで応えるようにカンカンと軽快に金属音が響き始めた。複数人の足音だ。
「来たぞ」
鶴見中尉がボソリとそう呟いた。どうやら、その足音の主は杉元さんたちのようだ。
「機関室に誰もいない」
「暴走してんのか？このままじゃ函館駅に突っ込むぞ」
彼らからみたら、私達の姿は死角の場所に立っているため、見えないのだろう。鶴見中尉は、そんな彼らの声に耳を傾けながら、何か考え込んでいる様子だった。
そして少しすると、彼は私の方を振り返り、視線を前に向ける。
機関室に向かいながら、彼らを迎え撃つつもりだろう。
鶴見中尉は、そっと影から身を乗り出す。私もそれに倣って、鶴見中尉の隣から顔を覗かせた、その時。アシㇼパが弓矢をこちらへと構えているのが目に入った。
「鶴見中尉殿ッ！！危ない！」
私が咄嗟に鶴見中尉の前に出るのと、鶴見中尉が振り返ってアシㇼパへ発砲するのは同時だった。パァンッと乾いた音が一発、響く。
間一髪のところで、杉元さんがアシㇼパの体を引き寄せたおかげで、弾は当たらずに済んだようだ。
だが、その拍子にアシㇼパの弓矢が手から放れていく。そして、アシㇼパの放った矢は─────……私の脇腹を掠めた。
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塩わさび(プロフ) - 名無し36195号さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！そう言っていただけるなんて嬉しいです☺️杉元編ができたら、お手隙の際に読んでいただければ幸いです。 (3月3日 19時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し36195号(プロフ) - 感動しました。本当に素敵な作品をありがとうございます。ぜひこれからも執筆してください。塩わさびさんの作品をもっと読みたいです。杉元のお話待ってます！ (3月3日 15時) (レス) @page44 id: 83cc8cc69d (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 蜂蜜姫さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！！またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします！🙇♀ (2月28日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜姫(プロフ) - 完結お疲れ様でした！とても素敵な小説をありがとうございました😊鯉登少尉と幸せになれてよかった！ (2月28日 21時) (レス) @page44 id: b1f5f5fccb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 飛炉さん» こちらこそ、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました☺またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします。 (2月26日 19時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2024年2月17日 17時
