私の一番大切な彼のこと ページ22
��鶴見中尉の手をとらない
私はまっすぐと鶴見中尉へ手を伸ばそうとして…やめた。
「ごめんなさい………。鶴見中尉殿、私はあなたと共に行くことは出来ません」
こちらから見上げると、ちょうど逆光になっていて、鶴見中尉の表情はわからない。怒っているのか、それとも悲しんでいるのか。
鶴見中尉は、私がそう言うと分かっていたかのように、「そうか」と呟いた。
「Aは……私と共に来てくれないんだな」
「……はい」
鶴見中尉には、今まで感謝しきれないほどお世話になった。
彼がいなければ、私はここまで来ることはできなかっただろう。
だけど。それ以上に、大切な人ができてしまった。私は、音之進さんと共に生きたいと……思ってしまった。
鶴見中尉のお陰で、今の私が在るというのに。
「恩を仇で返すような……。不出来な娘で、ごめんなさい。……お義理父様」
私がそう答えると、鶴見中尉はしばらく無言だったが、やがて「わかった」と呟くと、手を引っ込めて立ち上がり、A、と私の名前を呼んだ。
「お前は自分が幸せになれる道を選べるようになったんだな。……それでいい」
「……！」
「将校室にある…私の机の右側の引き出しに、手紙が入っている。そこにお前の知りたい真実が書かれている。お前が必要になった時に読みなさい」
「え……？」
鶴見中尉の言葉に私は目を見開いた。どうして私に手紙を。それに、真実とは一体……。
「あの……どういう……」
私が尋ねようとすると、鶴見中尉はこちらに背を向けた。そして、そのまま歩き出す。
「鶴見中尉殿！」
私は思わず、彼の名を呼んだ。しかし彼は立ち止まることなく、そのまま屋根を伝っていく。
その後ろ姿をみて、分かってしまった。鶴見中尉殿の考えが。
きっと彼は……すべてを背負っていくつもりなのだ。
すべての罪も罰も、一人で背負っていこうとしているのだ。
「鶴見…中尉殿……」
私が彼の名前を呟くと同時に、視界がぐらりと大きく揺れた。
「A！」
鯉登少尉は私の手を掴むと、強い力で自分の方へ引き寄せた。ぐらりと彼の胸に倒れ込む。
「ッ……」
激しい揺れに視界が歪み、思わず目を瞑った。しばらくすると、少しずつ揺れが収まり、静寂が訪れる。私はそっと目を開いた。
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塩わさび(プロフ) - 名無し36195号さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！そう言っていただけるなんて嬉しいです☺️杉元編ができたら、お手隙の際に読んでいただければ幸いです。 (3月3日 19時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し36195号(プロフ) - 感動しました。本当に素敵な作品をありがとうございます。ぜひこれからも執筆してください。塩わさびさんの作品をもっと読みたいです。杉元のお話待ってます！ (3月3日 15時) (レス) @page44 id: 83cc8cc69d (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 蜂蜜姫さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！！またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします！🙇♀ (2月28日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜姫(プロフ) - 完結お疲れ様でした！とても素敵な小説をありがとうございました😊鯉登少尉と幸せになれてよかった！ (2月28日 21時) (レス) @page44 id: b1f5f5fccb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 飛炉さん» こちらこそ、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました☺またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします。 (2月26日 19時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2024年2月17日 17時
