巡り合った未来 3 ページ3
「この列車で全て片を付け、五稜郭へ戻るぞ」
鶴見中尉はそう言うと、足元で浅い息をしている兵士や私に語りかけるように、確かめることがあると一方的に話し出す。
鶴見中尉の目的は、旅順にある関東都督府陸軍部守備隊に潜り込み、権利書を使って、関東都督府の権限を強めるよう中央を脅すつもりらしい。
そして、満州で力を蓄え、彼は再び日本へと戻る。
それが、彼の計画。
「そのためにはAには私の右腕になってほしい」
「………鶴見中尉殿のお役に立てるなら、喜んで」
私の返答に鶴見中尉は満足そうに微笑んだ。鶴見中尉は私の手を引いて操縦室へと歩き出す。
そして操縦室へと差し掛かかったそのとき、ドォンッと大きな銃声が後ろの車両で響いた。たった一発の銃声なのに、やけに長く、重く響く音だった。
その音に反応するように、鶴見中尉と私の足は、自然と歩みを止める。
この銃声は一体なんだ？……嫌な予感がする。
「…尾形百之助」
「…そんな…尾形…上等兵……」
私の嫌な予感は当たったようだ。後ろを振り返ると、鶴見中尉はじっと静かにそうつぶやいた。
私も思わず声が漏れた。
そんな私達の視界に飛び込んできたものは─────…列車から、倒れ込む形で落ちていく尾形上等兵の姿だった。力なく崩れていく彼の様子から見るに、もう息をしていないことは明らかだ。
思わず目を逸らした。目の前で、知り合いが死ぬところを見るのは……どうも慣れない。
死ぬことへの恐怖心なのか、それとも流血していることによるものなのか。ぶるぶると手が震える。ぎゅっともう片方の拳を握りしめ、震えを抑えようとするが、なかなか止まってはくれなかった。
鶴見中尉はそんな私を一瞥すると、来た道を引き返す。
「…鶴見中尉殿…？」
一体何をするつもりなのだろう。
思わず呟くように彼の名前を小さく呼ぶ。だが、彼は何も答えず、ただ前だけを見て歩みを止めなかった。
私は慌てて彼の後を追うと、鶴見中尉は炭水車の端の部分で立ち止まる。
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塩わさび(プロフ) - 名無し36195号さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！そう言っていただけるなんて嬉しいです☺️杉元編ができたら、お手隙の際に読んでいただければ幸いです。 (3月3日 19時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し36195号(プロフ) - 感動しました。本当に素敵な作品をありがとうございます。ぜひこれからも執筆してください。塩わさびさんの作品をもっと読みたいです。杉元のお話待ってます！ (3月3日 15時) (レス) @page44 id: 83cc8cc69d (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 蜂蜜姫さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！！またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします！🙇♀ (2月28日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜姫(プロフ) - 完結お疲れ様でした！とても素敵な小説をありがとうございました😊鯉登少尉と幸せになれてよかった！ (2月28日 21時) (レス) @page44 id: b1f5f5fccb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 飛炉さん» こちらこそ、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました☺またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします。 (2月26日 19時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2024年2月17日 17時
