巡り合った未来 ページ1
�…畍�中尉の手を取る
私はまっすぐと鶴見中尉殿へと手を伸ばす。鶴見中尉殿は、そんな私を見て、目を見開いた。
だがすぐに嬉しそうに目を細めると「来いッ！！」と叫んだ。指先が少しだけ触れたとき、横から出てきた腕によって、中断される。
「Aッ！！なぜだッ！！上へ行けば死ぬ、わかっているのか！？」
「わかっています」
「なら、なぜだ……！？…あの人はまた嘘をついて、お前を利用としているんだぞ…ッ！？」
鯉登少尉が、必死に私を止めようと覆いかぶさるような体勢になる。本気で私を止めようとしているのだろう。
鯉登少尉の言いたいことはわかる。鶴見中尉殿は、今まで散々私達に嘘をついて、利用し、騙してきた。でも。それでも。
「確かに…そうなのかもしれません」
「なら……！」
「でも、全部が嘘だったわけじゃない」
思い出すのは、まだ私が師団につれて来られて、まだ日が浅かった頃。
彼は私を哀れみながらも、確かに愛情を持って接してくれた。たとえ彼の亡くなった娘の代わりにしたのだとしても。私に彼が与えてくれたあの愛情は、嘘じゃなかったはずだ。
「鯉登少尉殿」
私はそっと彼の頬に手を触れる。彼の目にはうっすらと涙が浮かんでいるように見えた。
私はそんな鯉登少尉に微笑むと、口を開いた。
……この選択を後悔しないためにも、彼には伝えておきたいことがあるのだ。
「ありがとう。…………ごめんなさい」
私に明るい世界を見せてくれてくれたこと。こんな私に手を差し伸べてくれたこと。
そして、私なんかを………愛してくれたこと。
そんな感謝の気持ちと、一緒にはなれないことへの謝罪を込めて、私は鯉登少尉に微笑みかけた。
彼はそんな私の表情を見て、言葉を失ったように硬直する。
その隙に私は鶴見中尉殿の手を掴み取った。
鶴見中尉殿は私の手を力強く握ると、そのまま私を引っ張り上げた。
鶴見中尉殿に引っ張られるまま、私は屋根の上へと上がっていく。
「行くなッ…！！行かないでくれ、Aッ！！！！」
鯉登少尉は、そんな私に向かって叫ぶ。
それはまるで、別れを惜しむような悲痛な叫びだった。
私はその声に振り返らず、鶴見中尉殿と共に屋根へと上がるとそのまま渡って別の車両へと飛び移った。
デッキとはうってかわって、ひやりと冷たい空気が漂う。風が強くなってきており、気を緩んでしまったら転びそうだ。
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塩わさび(プロフ) - 名無し36195号さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！そう言っていただけるなんて嬉しいです☺️杉元編ができたら、お手隙の際に読んでいただければ幸いです。 (3月3日 19時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し36195号(プロフ) - 感動しました。本当に素敵な作品をありがとうございます。ぜひこれからも執筆してください。塩わさびさんの作品をもっと読みたいです。杉元のお話待ってます！ (3月3日 15時) (レス) @page44 id: 83cc8cc69d (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 蜂蜜姫さん» 最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました！！またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします！🙇♀ (2月28日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜姫(プロフ) - 完結お疲れ様でした！とても素敵な小説をありがとうございました😊鯉登少尉と幸せになれてよかった！ (2月28日 21時) (レス) @page44 id: b1f5f5fccb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 飛炉さん» こちらこそ、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました☺またどこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします。 (2月26日 19時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2024年2月17日 17時
