弾より速く 3 ページ43
「赤ん坊…？」
お銀はいつの間にか、赤ん坊を抱き抱えており、その背中に背負っていたらしい。荷物の中からは、まだ生まれたばかりだと思われる赤ん坊が姿を現した。鶴見中尉はそっと赤ん坊に近づくと、優しく抱き上げる。
「稲妻とお銀の子か」
鶴見中尉はそう呟くと、「ひとまず連れて行こう」と言って馬車へ歩き出した。
私達もそれに続いて、それぞれ屋形と御者席へと乗り込む。
こうして、私達の任務は幕を降ろしたのだった。
そして、夜が明けた、次の日。兵舎には、この場には似つかわしくない赤ん坊の泣き声が響いていた。
「子供は親を選べない。あの夫婦は凶悪だったが…愛があった」
二階堂くんがおむつを取り替えるのに、苦戦している様子を見守りながら、鶴見中尉はどこか遠くの方を見て、ポツリと言葉を溢す。
「あんな親が育てた子供は、どんな人間に成長するのか興味があるところだったな」
「生粋の凶悪な殺人者でしょう」
鶴見中尉の呟きに、月島軍曹が淡々とした口調で答える。すると、鶴見中尉殿は時代にあっていれば英雄になっていたかもしれないと答えた。
「おむつできたっ！」
ちょうどその時、二階堂くんが嬉しそうな表情を浮かべて、赤ん坊を持ち上げる。だが、おむつが赤ん坊の顔にぐるぐると巻かれており、赤ん坊は苦しそうに暴れた。
私は急いで駆け寄り、おむつを外してあげると、赤ん坊はホッとしたように息を吐く。
「二階堂。貸してごらん」
見かねて鶴見中尉が近づき、赤ん坊を受け取ると、慣れた様子でおしめを替え始めた。その様子を見て、私と二階堂くんは思わず感嘆のため息を漏らしてしまう。
彼の抱き方は、とても手慣れているような気がした。昨晩も思ったが、赤ん坊を抱きしめるその様子は、まるで絵画のように美しく、様になっている。
「A嬢も抱きあげてみるか？」
「……いえ、私は……」
思いの外、ジッの見つめてしまっていたらしい。鶴見中尉殿の提案に、私は戸惑ってしまう。
「遠慮することはない。ほら」
私は恐る恐る近づいて、赤ん坊を受け取った。想像していたよりも柔らかくて重く、そして暖かい。私が抱くと、安心したのか、ふにゃりと笑ってくれた。それがなんだかくすぐったくて、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚に陥る。
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塩わさび(プロフ) - あもさん» ありがとうございます。鯉登とは光属性なので、一応、のんびりほんわかな雰囲気を意識してます…！ (2023年1月9日 1時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 鯉登さんとの絡みが面白くて可愛くて、ほっこりします／／／ (2023年1月3日 8時) (レス) @page29 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 本作品でもコメントありがとうございます。鯉登くんもお好きなんですね！最後まで楽しんでいただけると幸いです。 (2022年12月31日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 鯉登さんルート！！！鯉登さんも好きなので／／／ (2022年12月31日 20時) (レス) id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2022年12月31日 18時
