夏の虫 3 ページ40
私は彼らの姿が消えるのを見守ってから、大きく深呼吸をする。
いつの間にか、辺りに立ち込めていた煙は消えていて、月明かりが私を照らす。その眩しさに思わず目を細めると、ふと先程の彼の言葉を思い出して、胸に手を当てる。
「…………信じてるって、言われても」
顔が熱いような気がする。
何だか胸の奥がざわつく感じがして、私は首を傾げた。どうしてこんな気持ちになるのか、自分でもよくわからなかった。ただ、胸の鼓動だけが、トクントクンと高鳴っている。
「A嬢！」
名前を呼ばれてハッとして振り返ると、そこには鶴見中尉殿がいた。
「向こうに馬車がある。私達も稲妻を追うぞ、ついてきなさい」
「はっ、はい……！」
鶴見中尉殿はそう言って、先に行ってしまった。私は慌てて、彼に付いて行く。表には、彼の言ったとおり、馬車があった。鶴見中尉が屋形に乗ったのに続いて、私も御者の横に飛び乗った。
「鯉登少尉の銃声を追え、そこに稲妻がいるはずだ！」
馬を走らせながら、彼は叫ぶ。
耳を傾けると、確かに闇夜に混じって銃声の音が遠くの方で聞こえた。御者はそれを聞きながら、その方向へと馬を走らせる。
しばらくすると、港が見えてきて、銃声の音がだんだん大きくなってきた。
「近いぞ、急げ！」
鶴見中尉の言葉と同時に、馬がさらに加速した。
すると、前方から鯉登少尉の叫び声と共に発砲音が聞こえてくる。彼の視線の先には、倉庫の方へ走りだそうとしている稲妻強盗が見えた。
私は銃を構え、稲妻強盗の足を目掛けて数発撃つ。銃弾は見事に命中したが、稲妻強盗は怯むことなく、力を振り絞って、再び逃げ出そうとしている。
「鯉登少尉の銃声が、音の道標になった…。よく走って食らいついたな。いいぞぉ鯉登」
屋形の中の鶴見中尉殿がそう呟くと、勢い良く扉が中から開く。そこには、口角を上げながら、機関銃を構える鶴見中尉殿の姿があった。
「この機関銃の弾より速く逃げてみろ、稲妻！！」
そう叫ぶと、稲妻強盗の下半身に向かって容赦なく銃弾を浴びせていく。銃弾は稲妻に被弾し、その場に倒れ込んだ。
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塩わさび(プロフ) - あもさん» ありがとうございます。鯉登とは光属性なので、一応、のんびりほんわかな雰囲気を意識してます…！ (2023年1月9日 1時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 鯉登さんとの絡みが面白くて可愛くて、ほっこりします／／／ (2023年1月3日 8時) (レス) @page29 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 本作品でもコメントありがとうございます。鯉登くんもお好きなんですね！最後まで楽しんでいただけると幸いです。 (2022年12月31日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 鯉登さんルート！！！鯉登さんも好きなので／／／ (2022年12月31日 20時) (レス) id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2022年12月31日 18時
