馬子にも衣装 ページ34
報告が終わり、部屋を出て廊下を歩く。夕暮れまでには時間がまだ少しあった。
各自、それぞれ持ち場へつくために、これから準備をしなければならない。私も早く部屋に戻って、着替えて支度をしなくては。
そう思いながら歩いていると、「Aちゃーん！」と私を呼ぶ声がして振り返る。そこには、二階堂くんが手を振ってこちらにきた。
「見てコレッ！！コレ着ていきなさいって鶴見中尉殿が言ってた！Aちゃんとおそろいだ！」
そう言って二階堂くんが見せてきたのは、男性用の着物だった。どうやら賭場に忍び込むために用意されたものらしい。
「本当だ。着物でお揃いだね」
「うん！Aちゃん、俺コレ着て頑張るから！一緒に稲妻強盗たちをぶっ殺そうね！」
「もちろん」
いつも通りの笑顔で頷くと、ぱぁっと二階堂くんは顔を輝かせた。そして、そのまま私の手を握ってぶんぶんと振り回す。
恐らくだが、二階堂くんは私がこの着物を着たまま、賭場へ潜入すると考えている。だが、この格好はあくまで情報を集めるために着ただけだけであり、実際の服装は軍服の予定だ。
しかし、それを目の前の彼に言うのも野暮というものだろう。私は黙ってされるがままにしていた。
二階堂くんはしばらく私と握手をした後、満足したのか、また後でねと言い残して去って行く。
これで彼のやる気が上がるなら安いものだと思いながらその背中をぼんやりと眺めていると、ふいに「月島、お前はどう思う」や「直接本人に聞けばいいでしょう」といった言葉が後ろから断片的に聞こえてきた。
思わず立ち止まって後ろを振り返ると、鯉登少尉と月島軍曹が何やら話しているようだった。
鯉登少尉は何やら眉間に皺を寄せており、月島軍曹は面倒くさそうな表情をしている。
チラチラとこちらを見ながら話していたので、おそらく私のことについて何か言っていたのかもしれない。
ふいに鯉登少尉と目が合うと、猫が驚いたようにビクッと身体を震わせた。
その後、何故か慌てて目を逸らすと、月島軍曹の方へと向き直り、「つ……月島ぁ………！！」と蚊の鳴くような声で言う。月島軍曹は「ほら、いくなら今ですよ」と呆れた声で言った。
鯉登少尉は、ぐぬぅ〜〜〜！！！という悔しげな鳴き声を上げながら、地団駄を踏むと、「おい、A！！」と私の名前を呼んだ。
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塩わさび(プロフ) - あもさん» ありがとうございます。鯉登とは光属性なので、一応、のんびりほんわかな雰囲気を意識してます…！ (2023年1月9日 1時) (
レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 鯉登さんとの絡みが面白くて可愛くて、ほっこりします／／／ (2023年1月3日 8時) (レス) @page29 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 本作品でもコメントありがとうございます。鯉登くんもお好きなんですね！最後まで楽しんでいただけると幸いです。 (2022年12月31日 21時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 鯉登さんルート！！！鯉登さんも好きなので／／／ (2022年12月31日 20時) (レス) id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2022年12月31日 18時
