放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ3)

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138:伝わらない想いページ3

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鉄柵を握る手の力が強くなる。

じゃり・・と手のひらに錆が絡みつく感触がした。

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「みんなで・・・行くの？」

翔「あぁでも大丈夫、彼女連れてくる奴もいるから女一人にはなんないよ」

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そんなことが聞きたいんじゃない。

二人でいこうって

そう、言ったのに＿＿＿

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「一応・・・ってなに・・っ」

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自分の声が遠い場所で聞こえた。

どうして、私が”一応”なんだろう。

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翔は、私と二人でいたいと思うよりもきっと

仲間と一緒に過ごす自分と・・・いてほしいだけ・・・

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翔「もしもしA？ごめん、よく聞こえなくて」

「二人で行くって、思ってた・・・」

翔「いやそうだったけど変に盛り上がってさ。
俺もなんか酒の勢いでいいんじゃねぇ？みたいに言っちゃって。
でもさ、部屋はもちろん別だし。
夜は早めに部屋戻って、ゆっくり二人で過ごそ？」

「そんなの・・・いつもと変わんない」

翔「俺らの部屋だけグレードあげようと思ってんだけどなー(笑)
露天風呂付きとかいいねって話したじゃん？」

「部屋とか、お風呂とか、そういうことじゃない・・・」

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どういっても何言っても伝わらない想いが、足元に広がっていく。

やがてそれは沼になり、このまま沈んでしまいそうだった。

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どうして

どうして

うまくいかないんだろう。

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翔「んー・・・悪い奴らじゃないし、それにAも紹介できたら
これからもわいわいやれるかなって思っただけなんだけどな」

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「これからもって・・・あたし大人数あんまり得意じゃな＿＿」

翔「だからあいつらは別(笑)ぜんっぜん気使うやつらじゃないよ」

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そんなことじゃない。

翔、違うの・・・

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あたしはただ二人でいたいだけ。

何もしなくていい、誰もいなくていい

わいわいなんてしたくないよ・・・

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ねぇ

あたしは・・・・・・・・

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涙の最初の一粒が、足元にぽつりと落ちて消えた。

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