放課後の背中part5 【Satoshi】 (ページ18)

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153:松本先生ページ18

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体育館にずらりと並んだ生徒たち。

休み明けのふわふわした空気のなか、
校長のだらだらとした話にみんな飽きてる。

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二「教頭、ヅラ新しくしたろ」

潤「俺も思った。微妙に生え際おかしいってあれ(笑)」

二「だよな(笑)ばっかだねぇーすぐばれんのに。ねぇ？」

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そんなくだらない会話を、小声ともいえない声でする二人に呆れながら

新学期に合わせて買い換えた自分のスニーカーに目を落とす。

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二「ねぇって。おたくに言ってんだけど」

「あたし？いや、まだ見てないもの」

二「見ろや、今。ぼんやり下ばっかみてないで」

「べ、つに見てませんっ」

二「床に穴あきそうですけどもー」

潤「茶化すなよお前は。・・・大丈夫？」

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その柔らかな声に、今朝の会話を思い出した。

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今朝、ふらりと保健室に顔をだした松本先生は

”櫻井が、二宮に話してんの一緒に聞いたんだ”

そう言って申し訳なさそうに、ごめんと頭を下げた。

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潤「どっちの味方ってことじゃねぇけどさ、ただ俺、困ってる女は
ほっとけないんだよね(笑)」

「ありがとう(笑)でも、大丈夫だからもう」

潤「なんかあったら言えよ？櫻井、のことじゃなくても」

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様子を窺うように聞かれたとき、あぁ二宮先生が言ったんだなと思った。

差し出したマグをそっと受け取って、顔をしかめながらコーヒーを飲む。
その仕草を眺めながら、聞いた。

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「バカだ・・って思う？私の、その・・・聞いたんでしょ」

潤「さらっとね。でもバカとは思ってないよ。
誰かを好きになることがバカだったら、世の中全員バカだらけだろ」

「でも、誰を好きになってもいいわけじゃないよね」

潤「・・・そうか？誰かのもんとか、相手に拒否られてるとかなら別だけど。
そうじゃないっしょ」

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生徒でも？

そう聞きたい言葉が喉の奥で詰まる。

マグを流しにそっと置いてから、ドアに向かって歩き出す。
松本先生のスニーカーの音が、キュっと鳴って静かに響いた。

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潤「よく知らない俺が、あーだこーだ言えないけど。でも」

肩越しに振り向いた松本先生と目が合う。

潤「本当に好きなら、何をどうあがいても好きなままで・・・辛いだろ」

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潤「あいつも、そうじゃねぇかな」

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そう言って、出て行った。

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