42*ラーメン1杯分のカロリーと ページ42
「佐倉ちゃん、赤坂君どうだった?」
病院を出た先に山田が待ち構えていた。
病院付近にあったタピオカ屋に寄ったのか、タピオカミルクティーを片手に持っていた。
・・・私も帰りに買って帰ろうかな。
「そんなに飲みたいなら行く?」
「・・・行く」
もう飲みたくて仕方ないので、私たちはタピオカ屋に向かう。
運よくそんなに並んでいなかったので、5分ほどで受け取れた。
「赤坂も妹ちゃんも徐々に回復しているみたいね。あと3日ほどすれば退院できるそうよ」
「そりゃあ良かった。いやぁ長かったなぁ。・・・赤坂君はもっと、人生のほとんどが・・・なのかもしれないけども・・・」
「赤坂もあまり話したがらなかったからね」
「一番心を閉ざしてるのはもしかしたら赤坂君なのかもね」
切なく笑ったと思ったら、めっちゃニヤニヤした顔で私を見た。
何その笑みは。
ちょっと、背中つんつんするのやめて。
地味に痛いから。
「それはそうと・・・赤坂君に返事はしたの?」
「は?」
「え、してないの?赤坂君を見つけたら言う〜みたいなこと言ってたじゃん。あーあ赤坂君泣いちゃうよ〜」
「・・・退院してから」
「そう言って絶対言わないんだ!そうこうしてるうちに結婚できないでアラサーどころがアラフォーになっちゃうよ!?」
「退院してからでいいでしょ!?赤坂病人なんだし」
山田はいつもこの手の話にはうるさいし騒がしい。
結婚できないって、山田だってまだじゃん。
病人というワードを出すと山田は、ぴたりと黙った。
「確かに・・・オッケーだったら舞い上がって病院で怒られてそうだし、ノーだとしても落ち込みすぎてまた更に痩せちゃうかも・・・」
そこまでは考えてはないが、まぁそういうことにしておこう。
事実、一番は勇気が出ないからだ。
告白なんてスルーしかしたことないし、返事を返すって行為なんてしたことない。
何て言えばいいのだろうか。
まだ上手くまとめられてない。
「難しいこと言おうとしてる?」
うーんと悩みながらタピオカを吸っていると、山田が見透かしたかのように私を見た。
ご名答、山田には敵わない。
「そんな難しいこというより、たった一言を言えばいいんだよ」
「ええ・・・」
「そうだなぁ。すこーし佐倉ちゃんには難しいかもだけど・・・」
山田が提案する返事の仕方。
「頑張れ♪」
それはどんな仕事よりも難易度が高すぎた。
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ルリアイス(プロフ) - 夢魔さん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2020年1月11日 0時) (レス) id: 0fcb288ad8 (このIDを非表示/違反報告)
夢魔 - 凄く面白かったです! これからも応援してます!! (2020年1月10日 23時) (レス) id: f6b046dcfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルリ☆アイス | 作成日時:2019年10月28日 22時