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A「高杉...料理、出来たんだね。」
目の前に出された意外と庶民的な料理の数々。
ロールキャベツに煮物にサラダにその他諸々。
庶民的ながら品数でいけばレストラン並みだ。
高杉「趣味だ。休日に出掛ける相手が居なかったからなぁ。気付けばそこら辺の女より品目は多くなってた。」
確かに、知っている料理は一通りある。
それにしても作り過ぎではないだろうか。
A「ホント...高杉って何でも出来ちゃうよね。...何でも、さ。」
そう、高杉は大体の事はソツなく平均以上にこなす。
昔からそうだった。
高杉「バーカ。俺にだって出来ねぇ事の一つや二つ、あるぜ。」
最後の一品がテーブルに置かれて、食事の準備が終わると高杉は煙草を吸いだした。
何だろう、高杉に出来ない事。
禁煙だろうか。
高杉「まぁいい。その話はまたその内してやるよ。それより、お前の話だ。」
私の話。
言いたくないな...
あの事件は高杉には今は知られたくない。
高杉に嫌われたくない。
高杉「俺がお前に対して迷惑だなんて思った事、俺は今まで一度もねぇよ。それなのに、何故、お前は迷惑だと思った?」
何故って聞かれても...
A「解からない...でも、こんなの面倒以外の何ものでもないでしょう。他人の高杉が私にこんな事する義務なんてないんだし。利益もないじゃん。」
私と高杉は家族ではない。
他人だ。
人間は自分に利益が有るから他人に優しくする。
情は人の為ならず、と言うだろう。
高杉「...利益ならある。お前の笑顔が俺は見てぇ。楽しそうにしてるお前を見てる時が俺は一番幸せだった。」
何なんだろう、高杉って。
期待させるのが上手いと言うのだろうか。
A「いつの事言ってるんだか...私にはもう、そんなの無理なんだよ。」
無理に笑って見せるけど、彼に通じている気はしない。
険しい顔で私を黙って見ている。
高杉「俺は...昔のお前が好きだった。」
え。
高杉「それが、家族に思う好きなのか、違うのか考えた事も無かったがな...お前と再会して、変わった様子を見て真剣に考えるようになった。」
何それ。
高杉「...自分を変えようとする事自体は悪くねぇ。だが、本当の自分を殺して偽っているお前のやり方は認められない。」
自分を殺して偽っている、か。
本当に高杉は私を甘やかしてくれないな。
A「自分を殺さずに変われる方法なんてあるのかな。」
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ゆじゅ(*^^*) - すごい感動しました!!!!頑張ってください!!!!(´;ω;`) (2018年8月10日 13時) (レス) id: b28f7c5037 (このIDを非表示/違反報告)
明日花 - とても面白いです。続き楽しみにしてます。 (2017年11月5日 20時) (レス) id: dffcc64210 (このIDを非表示/違反報告)
じゅじゅ(プロフ) - 同性だが、女怖えぇ(;´Д`)土方朱璃サンも主人公も頑張れ!続き楽しみにしてます(*'▽'*) (2017年10月7日 22時) (レス) id: 717e2909d4 (このIDを非表示/違反報告)
kuro - 面白いです!続き楽しみにしてます! (2017年9月28日 2時) (レス) id: 6c3a526fbd (このIDを非表示/違反報告)
*Sumire* - 凄い面白いです!続き楽しみにしているので、頑張ってください! (2017年3月6日 22時) (レス) id: dcc2e7e9e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:土方朱璃 | 作成日時:2016年7月29日 3時