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「今日? そうねえ、きっと
行けるはずだけれど・・
一応連絡しておきましょう、
ありがとう」
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お姉ちゃんは、
ジャック先生に頼まれて、
何かを届けなくちゃいけないらしい。
どうやら、お酒みたい。
お姉ちゃんは今の仕事柄、
お店にあるお酒を
よくお友達の人に頼まれて
届けている。
ジャック先生に届けるときは、
大抵なかなか帰ってこない。
帰ってくると、
なんだか楽しそうだし、
いつも二人で飲むみたい。
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夜、わたしが明日提出の課題と
格闘していると、
わたし一人の家に
電話が鳴り響いた。
お姉ちゃんからだった。
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『ごめんね、A。
お仕事終わるの遅くなりそうなの、
ジャックくんのおうちに
台所に出してあるお酒、
持っていってくれないかしら・・』
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課題の進捗はまずまずと
いったところだったけれど、
大好きなお姉ちゃんの頼みなら
仕方ない、行くことにした。
ジャック先生のおうちの
呼び鈴を鳴らすと、
ジャック先生が出てきた。
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「あれっ、お姉ちゃんは?」
「仕事、遅くなりそうだからって、
わたしが頼まれたんです」
「あー・・そっかあ・・」
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先生は頭をかきながら云った。
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「あいつじゃないと、
意味ないんだよなあ・・」
「あの・・遅くなっても平気なら、
きっと来れると思います、
わたし伝えておきますから」
「うーん、じゃあ、
ごめん、そうしてもらえる?」
「分かりました!」
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先生は少し疲れたように笑うと、
ゆらゆらと手を振って、
わたしを見送ってくれた。
帰ってきたお姉ちゃんに
先生に約束した通りに伝えると、
お姉ちゃんは慌てたように
急いで出ていってしまった。
お姉ちゃんが閉めた扉の
ばたんという音が
またこの家に静寂を招き入れた。
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不気味なほどに静かだった。
お姉ちゃんが、
帰ってくることは無かった。
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お姉ちゃんの捜索願を出したのは
その数日後。
時を同じくして、
ジャック先生は無断欠勤。
わたしの身近な人々に、
いったい何があったのか
分からなくて、
不安な日々を過ごした。
その約一ヶ月後、
すべてを知ることになるなんて、
わたしは、まだ知らない。
.
fin.
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青い消しゴム - 私もラーメンズ大好きなんで、この話面白いし、好きです!!無理しない程度に更新頑張ってください~!! (2017年6月27日 23時) (レス) id: a6706dc0ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:物書き白うさぎ | 作成日時:2016年9月27日 3時