Love scenario

10 HB ページ10

『…え？金曜泊まれない？』

『ごめんね、あの、仕事が…遅くまであるの』



『…いいよ。大丈夫』

『金曜はダメだけど、土曜なら…』



『いや、大丈夫。バビたちと遊び行こっかな。久々に』

『…そっか』



『あ、家ついた。じゃあ』

『…うん、バイバイ』




俺の家って微妙に近いんだよな。駅から。

もっと話したいのに。



…金曜、会えないのかぁ。



部屋に戻ってリュックを投げ、ベッドにそのまま倒れこんだ。


いつものライングループに”金曜どっかいこー”と送信すると
すぐに既読が３もついた。みんな暇なんだな。


”金曜飲み会あるよ。お前も来る？”ミノはいつも返信が速い。

”おーいくわ”
そう返事をして、携帯をぽいと投げた。


今日はベンベンが厨房から全然出てこなくて
ホールを一人で回して…



疲れたなぁ。

マジ疲れた…。


腹が減ってたはずなのに。風呂に入りたかったはずなのに。
何故かその日は、そのまま朝まで眠ってしまった。
Aさんから電話があったことにも、気づかずに。



･


･


『超〜〜〜〜かっこよかった』


昼休み、いつもの席でいつものメンバーで。
飯を食ってる手を止めてまで、ジナンは大げさに説明した。

その、ビョンなんとかって人が、いかにカッコイイかを。


ジナン『ダンスもね、俺らのイメージは残しつつ少しずつ雰囲気変えて』

『…振り付け変えたの？』

顔を上げてジナンを見ると、しまったという表情。
フォローをするようにバビが横から口を出した。

バビ『でもさぁ、A先生とはすっげえ仲悪いの。たぶんビョンさんはA先生の事嫌ってると思う』

ジナン『だね。A先生もビョンさんのことは苦手そうだった』

誤魔化されたような気持ちになりながらも、一番知りたかったのはそれだったことに気づく。
どんなにかっこよくても、Aさんに近づかなければそれで良い。


ジナン『あれ？ビョンさんじゃね？』

バビ『ほんとだ』


2人の視線の先を振り返って全力で追った。
なんだか派手な男の人がゾロゾロ歩いて…。

結局どの人かはわからなかった。


ジナン『ってゆうかさ、金曜ハンビンも行くんだね』


『あぁ…うん。たまにはね』


バビ『でも大丈夫なのー？バレたら怒られんじゃね？』


『別に、こんな事でAさんは…』


ジナン『合コンくらいで怒んないかぁ、先生は』




『……は？』

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