Love scenario

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ベク『女の子達、バイトが同じだからね。俺の頼みなら何でも聞きますって言って引き受けてくれたよ』


頭から、すーっと血が引く気がした。


あの日あそこで出会ったのは偶然じゃない。

この人が金曜にAさんを誘って、俺たちを会わせないように
俺があの飲み会に行くように仕向けたんだ。



ビョンさんは椅子を引いて座り、メニューを見る。
余裕に満ちた微笑み。

いや、見ているというよりは眺めている。


座ったまま、俺の方を見た。
真っ直ぐに、上目遣いで。



ベク『Aさんね？すごーくカッコイイ彼がいてさ。大学で楽しそうに2人で歩いてたよ。
俺、別れたって知ったのが遅かったんだよなー』

チャ『おい、ベク』



ベク『学食で騒ぐ君らの声が聞こえた時は耳を疑ったよ。
YGの教師のAさんと付き合ってるだなんて。すぐ調べたわ、キムハンビンくん』

隣にいるイケメンは頭をかいたりキョロキョロしたり落ち着きがない。
ビョンさんの冷静さが際立つ。


ベク『君といてもAさんは本音で話せないみたいだよ？ハンビンくん子供っぽいからかなぁ』

ぱたん、とメニューを閉じ、静かに置いて立ち上がった。



ベク『俺は全力で行くからね。恨みっこなしで。よろしく』


ポンと俺の肩を叩き、ドアへ向かって歩いていく。長身のイケメンが慌てて立ち上がった。


『Aさんは…』


やっと出た自分の声が、想像以上に掠れてて言葉を止めた。
咳払いをして、ビョンなんとかの後ろ姿に言った。



『Aさんは俺のもんだよ！手ぇ出すな！』


握った手に力が入る。必要以上に心臓が速く動いている。
ポケットに手を入れたビョンさんは、振り返ると笑っていた。




ゾッとするほどカッコイイ笑顔で。



ベク『そーゆーとこだよ。ハンビンくん。
Aさんはモノじゃない。ちゃんと気持ちを持った、ひとりの人なの。
誰と居るかは、Aさんが決める事だからね？』

そう最後まで言うと、見えてた白い歯がだんだん見えなくなって
眉間に皺を寄せ、形相が変わっていく。


ベク『…ふざけんなよ。俺より年下のガキに何が出来んだよ。
Aさんのこと、お前何も分かってないじゃん』


言い終わると、長身イケメンを追い抜いて店を出ていった。

おしぼりを持っていこうとしていたバビが、あれ？とドアの方を見る。






鈍感な俺でも気づいた。




ビョンさんはAさんに、片思いしてるんだ。

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