最悪の一週間5 ページ40
『安室』の名に一瞬反応するが、すぐに手を動かす。
最近ずっと学生達に『アンタのせいで安室さんは来ないんだ!』と日が経つにつれ隠れた嫌がらせが酷くなってきていた。
コナンが悪い訳ではないが、コナンにまでAのせいで安室が休みなんだと言われているような錯覚に陥り自己嫌悪する。
物理的な嫌がらせは別に何とも思わない。
対策は打てるし「くだらない」と割り切れるから。
だが、言葉の暴力はさすがに対策は打てない。なんせ的を得ている事柄が多すぎるからだ。
プライベートはもちろん仕事中でさえ安室と会話をする事がほとんどない。
本人に言われたわけではないが、嫌われていると思う要素があり過ぎるのだ。
話しかけられるどころか、やっと話すタイミングがあっても怒られてばかりなのだから。
気分がどんどん落ち込んでいくが、それを表に出す事はしない。
今は仕事中だ。
「・・・安室さんはまだ体調不良でお休みだよ」
「連絡はないの?」
「・・・まだ連絡ないね」
ーーなに?これ以上私を追い詰めてどうしたい?
コナンは安室がバーボンとわかり所在を知りたいだけなのだが、そんな事を知らないAは拷問されている気分だ。
徐々に表情が暗くなるAにコナンはどうしたのだろうと内心慌てる。
Aはダイエットと言っていたが、痩せ方が尋常じゃない。痩せたと言うよりやつれたと言った方が正しい。
先程は敢えて何も聞かなかったが自分が知らない間に何かがあったのか?と考えた。
直接Aに聞くが「何もない」と口を開こうとしない。詮索しようにものらりくらりと躱される。
明日から事務所を離れるし、心配になったコナンは――仕方ない。とAに連絡先を書いた紙を渡した。
「僕、明日から園子姉ちゃんのテニスの特訓に付き合うのに伊豆高原まで行くんだ」
だから何かあればここに連絡してと紙を握らされる。
まさかここでコナンの連絡先をゲット出来るとは・・と密かに感動。
安室の時もおおぉ!と内心歓喜した。
感動に浸っている時にフと思い出す。
ベルツリー急行の後に、確かテニスをしに行った場所で安室と遭遇する話があった事を思い出した。
たしかラケットがコナンの頭にぶつかると言うミラクルが起きた回ではなかっただろうか?
不意にその事を思い出したAは手をコナンに頭に乗せ優しく撫でた。
驚いているコナンの顔が少し可愛い。
「無理しないで。特に頭に気をつけなさい」
助けになれない自分ができる唯一の事。
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和佳子(プロフ) - 楽しく読ませてもらっています。読み返して気づいたのですが、世良ちゃんは真澄じゃなくて真純だったような気が⋯⋯ (2023年3月18日 17時) (レス) @page36 id: 30e7fd0f4c (このIDを非表示/違反報告)
さち - 楽しいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年5月15日 23時) (レス) id: b262052ad2 (このIDを非表示/違反報告)
淋 - はじめまして、早速面白い作品に出会えて良かったと思ってますww滅茶苦茶面白いですww最後の不機嫌な降谷とか笑いましたね!風見さんも何だかんだかわいいし…とことん降谷さんの邪魔をしてほしいですね!その方が個人的に面白いのでww (2019年5月13日 1時) (レス) id: b523bf60c6 (このIDを非表示/違反報告)
パパイヤ(プロフ) - 読ませてもらいました!とっても面白かったです。私もつい最近描き始めたのでお互い頑張っていきましょう!次の投稿も楽しみです! (2019年5月2日 21時) (レス) id: 01af9cd7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫暗 | 作成日時:2019年5月2日 3時