ちょっとリアルなトリップモブ

日常4 ページ28

次の日。
いつもと変わらずポアロに出勤したAに、既に来ていた安室はキョトンとした。

――かわいいな！

とても29歳とは思えない仕草に心の中で悶える。

「あれ？今日はAさんお休みでは？」

そうなのだ。
今日は本来休みだったのだが、昨日あれから梓から連絡があり、案の定手首を捻挫したと言うのだ。
手首を痛めているなら仕事はできないので、今日1日だけシフトを変わった。
軽い捻挫らしく3日程で治るそう。今日代わりに入るので来週の休みを変わってもらう約束をしたのだ。
ちなみになぜ今日だけかと言うと明日、明後日とAがもともと仕事だからだ。
なのでその話を安室に伝えると「なぜ昨日のうちに連絡しないんですか」と怒られた。
ちなみに連絡先は一応知ってる。
ここに安室さんが働き始めた時に、仕事で連絡する事があるから登録し合ったのだ。

「すみません。どうせ明日会うしその時直接伝えればいいやと思いました」

「ではなくて、昨日僕が上がったあと、梓さんは来なかったんでしょう？なぜわかった時点で僕に連絡しなかったと聞いているんです」

昨日梓が来なかったとは言っていないが、話の流れで来ていない事が分かったのだろう。
流石探偵だ。とバカ丸出しの事を考えた。

「？後でメールしようと思ったんですが忘れてました。すみません」

「そうじゃなくてですね。なぜ僕を呼び戻さなかったかを聞いているんです。」

――なぜ怒られてるんだ？悪い事してなくない？

「えー・・上がった人を呼び戻すのもあれですし、昨日安室さん、毛利さんたちと出かけて行くのを見えましたし・・1人で回せなくないですし・・・すみません」

以前から1人で店番することなど度々あったので問題はなかった。
言い訳がましくなってしまったが悪い事しているつもりはなかった。でも安室にとって何か勘に触るところがあったのだろう。めっちゃ怖いのでとりあえず謝る。

「謝ってほしいわけでありませんが、次からはちゃんと連絡してくださいね？」

「・・・はい」

今まで当たり障りなく接してきたつもりがここにきて怒られた。

言っていい？

めっちゃ凹む。

何がって？

一番推しのキャラなんだよ！
好きなキャラに怒られるって思った以上に心にズン・・ってくるんだよ！
泣きそうだわ！

これがラブコメならこの後優しく頭を撫でられたり優しい言葉をかけられたりあるんだろうけど、現実そんな事あるもんか。
仕事は仕事。
顔には出さず1日やり通した。

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