蜘蛛の糸。

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逃げられる
はずがない。
彼女の体力じゃ
せいぜい、庭の半分にも
辿り着かない。

鍵を開けて
中にはいる。
壁一面を
埋め尽くす写真に
泣き叫ぶ顔を張り付ける。

先程、撮ったものだ。

僕は
5才の時から
両親の転勤で
海外に行ったり来たりの
生活で
僕はほとんど日本語が
出来なかった。

そのせいで
僕は学生時代、
彼女の隣の学校…
インターナショナルスクールの
中高一貫校で過ごした。

Aの
情報は、彼女の学校の友達から
買っていた。
写真も盗聴も全て
彼女の友達から…。

彼女の家に遊びに行った
友達に、カメラを付けてもらって
一日中観察した。

大学は彼女と同じ学部に
入ったが
彼女の隣には
人2という、
誰が見てもかっこいい男がいた。

邪魔だ。
邪魔だった！
人2が…！

だから
記憶を消した。

今の医療だったら
表に出回っては
ないだけで、そのくらい
大金を積めば
闇医者がしてくれる。

記憶が消された彼は
大学も辞めて
働いていたので


面白かったから
声をかけて、
執事として
教育を受けさせ、
ここで雇った。

しかし
彼女の好きになる人を
分析したら
長身の細見で、
整った顔立ちで
色白。

元々僕は
長身で細見だったが
顔は彼女の理想とは
程遠い。

彼女の好きになった男の
平均の顔にするため、

何度も顔にメスを入れた。
ボルトもシリコンも
たくさん入れた。

術後、
麻酔が切れると
毎回、死ぬような痛さが
顔を襲う。

全ては彼女の為…。

彼女の初めては
全て僕が…。
なぜなら
僕ほど彼女を知っている人は
居ないんだから。

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