【WT】Enchante (ページ8)

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【nkm】むすんでひらいてページ8

・ほんのり学パロ
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物心ついたときには「赤い糸」が見えていた。今にも切れそうな細い糸もあれば、まるで毛糸のようなものまで様々あって、
人と人の繋がりをこの目で見れるのは楽しかった。

ただ一つだけ許せないことがあった。

俺の運命の赤い糸はどうやらあの子とは繋がっていないらしい。

ふんわりと花が咲いたように微笑む彼女の小指にはしっかりと赤い糸が巻きついている。
けどそれはどこか違う方向へと伸びていて。

見る度に自分の中で薄暗い感情がぐるぐると渦巻くのが分かる。

『おはよう！』

ねぇ、俺にもそうやって笑いかけてほしいな。

『うわ…ここの問題分かんない…』

ねぇ、俺はそれ分かるよ。

如何にも出来ない空虚感が心を蝕んでいって、
口に出来ない言葉を飲み込んだ。

「赤い糸を切ろう。」

そんな考えに行き着いたのはすぐだった。

鋏、カッター、包丁、ナイフ。
身の回りにあるもので切れそうなものは全て使ってみた。

けれどあの子の赤い糸は結ばれたまま。
日に日に増していく焦燥感に押しつぶされそうになっていたある日。

「で、出来た…！」

家から持ってきた母親の糸バサミ。
くすんだ黒色の刃を糸にかけると簡単に糸は切れてしまった。

急いで糸を自分の指に結びつける。
解けやすいリボン結びでは無くて片結びで小指にしっかりと結びついた赤い糸。

「やっぱり俺達運命なんだよ。」