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【sm】春はもう来ない ページ11
「冬だな。」
そう呟いた彼の言葉を遮る様に私は鼻歌を口ずさむ。小さな頃から母が歌ってくれた子守唄は私の中の最後の砦の様な気がしてならない。
この薄暗い場所に閉じ込められてどれくらいがたっただろう。
母にあげる花を摘みに行こうと花畑に向かっただけなのに、気付けば彼が私を此処へ連れてきていた。
「花嫁とか作る気無かったけどさ、Aは特別なんだよ。」
スマイルと名乗った彼の虚ろな瞳から砂糖の様な甘い熱が見え隠れしているような気がして、恐怖と混乱で思わず涙が頬を濡らす。
「ここにAが居てくれるだけで良いんだよ。人間の苦労も全部忘れて一生暮せばいいじゃん？」
冬の寒さはまだまだ続く。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
ハデスイメージのsmさん。
マジでリハビリすぎる短編です。
続く
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作者名：砂糖里 | 作成日時：2023年8月26日 14時
