第肆幕 彼女の威圧 ページ5
ここから夢主の名前を【瑠奈】に変えます。
───
鬼道side
あれから二週間半。俺たちは新しく吉良瞳子という監督を迎え、エイリア学園と戦うべく奈良に向かった。
そこでスランプ気味だった豪炎寺が抜け、財前が加入した。
「稲妻町に居るというとある選手を引き込むわ。情報が少ないから、その選手を探しつつリフレッシュして頂戴」
あまりにも雑。そんな指示だが、早い話が休息を取れということだろう。ありがたい話だ。
「A……まさか貴女まで巻き込まれていたなんて……」
監督は本当に小さな声でそう言った。近くに居た俺達しか気付かない位に。
「「！？」」
監督はAを知っているらしい。巻き込まれていた、とはどういうことだろうか？ 一緒に居たのに、Aの事を何もしらない。ふと、無力感に襲われた。
──
稲妻町に着き、川にかかった橋を渡っているとき。破裂音の様な音が聞こえた。またエイリア学園か？ 音がした方に向かう。どうやら河川敷に、人影が二人。息を潜めて様子をうかがう。
「で、何の用だって？ 横文字は苦手なんだよ、はっきり言ってくれ」
どうやら、少年同士喧嘩をしているようだ。見る限り、小柄なフードの少年が優勢だ。赤髪の少年は膝をついている。
「チッ……御手上げだ。じゃあな」
「じゃあな……か。そんなチャンス無いに決まってるだろ」
「ぐっ……！ かはっ」
フードの少年がボールを蹴り上げたかと思えば、それは赤髪の少年の腹に激突する。
「くっ、そ……絶対目にもの見せてやる、覚悟しとけよ！」
その光景に、見覚えがあった。ボールが光り、赤髪の少年が消え去る。エイリア学園の奴らが使っていたボールだったのか。
それを軽々蹴り上げたフードの少年に驚いたが、それ以上に腹に受けていた赤髪の宇宙人に同情してしまった。絶対痛かったと思う。
「誰」
「っ……A」
「えっ……いー、ちゃん？」
「え？」
しまった、という顔をした後、少年は笑顔を浮かべフードをとった。
サラリと広がる毛先だけ金色の紫髪。特徴的な紫と金のオッドアイは、惜しげもなく晒されている。その表情からは、恐怖も何も感じられなかった。
「……はじめまして、雷門中。私は篠宮瑠奈。キミたちは何の御用かな？」
さっきみたいな用だったら許さないよ。顔がそう言っていた。
「あなたにはイナズマキャラバンに加入して、エイリア学園と戦ってほしいの」
監督の言葉に、彼女は目を瞬いた。
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作者名：海道 凛 | 作成日時：2018年11月3日 19時
