第壱幕 彼女の異変 ページ2
Aside
「何、これ……学校が……」
「嘘だ……」
ボク達の学校、雷門中は、見る影もないほどに壊され、瓦礫と化していた。
「君達だけでも助かって良かった」
『何があったんですか！ これは一体どういう事！？』
一気に捲し立てると、校長は一度少し驚いたように身を引くと、こう言った。
「宇宙人だ……宇宙人がやって来たんだ」
「「「宇宙人？」」」
周りに目を向けると�爛ぅ淵坤泪ぅ譽屮鶚瓩里�じさん達が倒れていた。そのなかには古株さんの姿も。
『なんてこと……豪炎寺、勝也さんに連絡して！早く！』
「っ、嗚呼」
豪炎寺は察してくれた。ボクでも、応急処置なら出来るかな。約一分後、数台の救急車が到着した。怪我人は居たが皆軽症で、大事には至らなかったらしい。
「はぁ……世宇子と云い記憶喪失と云い、最近面倒事ばっかりだよ」
ほう、と息をつく。疲れて立っているのも難しい。その瞬間だった。赤黒い海と、同い年くらいの少女達が倒れ込んだ姿が脳裏に浮かぶ。
「う……うあぁぁぁぁぁぁあ！」
「「「！？」」」
「A！？A！しっかりしろ！」
叫び声を上げ震えだす。足音がやけに響く。苦しい。怖い。怖い。カラン、と下駄が鳴る。
脳裏の映像は耳鳴りを伴い、よりリアルで悲惨になっていく。悲鳴、嗚咽、怒号、高笑い。もう限界だ。
『ごめ……ちょっと、ムリかも……』
支えてくれてありがと。言えたか言えなかったか微妙なライン。視界が赤に染まる。
──
真っ暗な空間に、わたしはただ一人居た。此処は何処？わたし……わたしは、誰？
「いらっしゃい」
紫色の少女が、にこにこ笑いながら話し掛けてくる。
「キミは、誰？」
「私？私は……なんて言えば良いのかな。んー、貴女の仲間。よろしくね」
また、彼女は笑った。ころころと鈴を転がすような声が響く。ぽふ、と背後から頭に手を乗せられる。バッと振り向けば、そこには赤色の少女が居た。
「なぁ。瑠奈、俺達のことわからないんじゃないか？」
瑠奈って、ボクの名前？ そう問いかけると、紫色は痛ましいものを見たというふうに顔を歪める。そして、全部隠すようにまた笑った。
「はじめまして。貴女は瑠奈。私達は、貴女の仲間だよ」
「まあ、急に言われてもわからないよな。な、瑠奈。少し、昔話を聞いてくれるか？」
こくり、と頷けば、赤色は優しい顔で微笑んだ。
「これは、とある片田舎の集落で、実際に起きた話だ」
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作者名：海道 凛 | 作成日時：2018年11月3日 19時
