world５２ ロシア上陸 ページ6
瑠奈side
壮行会から３日。ボクらはロシアに到着していた。監督の計らいであげはも一緒に来れて、凄く嬉しい。
「あれ、スコーリオさん！」
「瑠奈！お久しぶりデース」
「知り合いですか？」
「うん。個性的だけど、面白い人だよ。あげはには不評だけど……」
思わず苦笑いをこぼす。だってあげは、スコーリオさんが視界に入っただけで、仔猫みたいに威嚇してるんだもの。なんだかフクザツな心境。
「ロシアではわからないことだらけなので、ガイドを彼にお願いしましたー」
早速不動とスコーリオさんが喧嘩のようなものを始めた。というかスコーリオさん、イタリア人なのにどうしてロシアのガイドやってるんだっけ。
「みんな！」
「ん？あ、夏未嬢だー」
「あら、あげはくん。良かった、一緒に来れていたのね。取り残されていたらどうしようかと思ったわ。はい、頼みたいことのリスト」
「ちょっ……一人の仕事量じゃないってこれ」
「ま、まあまあ、ちょっとはボクも手伝うから」
慌ててフォローを入れるも、疑わしい目で見られたまま。仕方ない、ユズにバトンタッチしよう。ボクの手には負えない。
「豪炎寺くん、足の方はもう大丈夫なの？」
「まだサッカーはできないが、日常生活なら問題はない」
ふと、大勢の足音が聞こえてきた。視線を向ければ、スペイン代表。
「ほう……こんなところで会うとは運命的ですねぇ」
「クラリオ！今度の試合、絶対負けないからな！」
「口にするのは簡単だが、実現は難しいぞ」
「大丈夫大丈夫、日本は負けないさ」
「鬼夜叉……確かにお前の力があれば可能かもしれない。だが、一人で動くつもりはないんだろう？そして、本気を出すつもりもない。なら、我々に勝機はある」
「おやおや？バレちゃってたんだ。まあ隠すつもりも無かったしね、あれ？でも野坂と鬼道にはバレなかったよ？なんでだろうね」
くるりと向き直って野坂に問う。彼は困ったような顔をしていた。答えさせるのは意地悪だったかな、と思い直す。
「……やっぱいいや」
「後ろから来るのはアメリカ代表？」
「一之瀬に土門じゃないか！」
駆け寄る円堂。落ち着いて少し貫禄が出てきていたけど、やっぱりこういうところは変わってないんだ。
わいわいと騒ぎ出す旧雷門組とマネージャー達。少しして他愛もない会話から、オリオンの話に切り替わった。
「安心して。アメリカ代表にオリオンの使徒はいない。スペインも同じだと聞いている」
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作者名：海道 凛 | 作成日時：2020年2月3日 21時
